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官邸の会議室で資料が配られ、閣僚たちがページをめくる音が重なった。2025年11月26日、外国人政策の見直し案の骨格が示されたのだ。税や社会保険料、医療費の不払いといった情報を、国と自治体のあいだでより緊密にやり取りし、在留資格の審査や子育て支援の給付に反映させる構想である。背景には、まじめに負担を果たす人ほど報われにくいという不満と、制度への信頼を立て直したいという焦りがにじむ。
在留審査と給付、情報が一本につながる
見直し案の柱は、マイナンバーを使った在留審査の厳格化である。2027年から、出入国在留管理庁がデジタル庁のシステムを通じて、国税や地方税、社会保険料の納付状況を直接確認できるようにする方針だという。マイナンバーは国内に住む人それぞれに割り振られた識別番号で、これまでも税・社会保障・防災分野での活用が想定されてきたが、在留管理との連結がより明確になる形だ。
外国人に税や保険料の滞納があれば、在留資格の更新を認めないという厳しい運用も掲げられている。狙いは、負担をきちんと果たす人とそうでない人の差を明確にし、未納の抑止力とすることだ。一方で、自治体が独自に運用してきた児童手当にもメスが入る。日本に実際には住んでいないのに給付を受けているケースを防ぐため、2027年以降に関係機関の情報を共有するネットワークを整備し、自治体が出入国の記録を確認できるようにするという。
もう1つの焦点は、仮放免中の人の所在管理である。健康上の理由などで収容施設から一時的に解放された外国人について、現在は自治体側から問い合わせなければ詳しい情報が得られない場面もある。政府は、入管庁が把握する情報をあらかじめ自治体へ送る「プッシュ型」の仕組みを構築し、逃亡や不法就労を防ぎたい考えだ。地域で支援にあたる担当者にとっても、誰がどこに暮らしているのか見えやすくなることが期待されている。
医療費不払いと保険義務化、現場で起きていること
医療の現場では、訪日中に治療を受けた外国人が医療費を支払わず帰国してしまう例が以前から課題となっている。厚生労働省は医療機関から未払い情報を集める報告システムを運用しており、2018年10月の1か月だけで外国人患者の未収金が約9400万円に達したとの集計もある。在留外国人と旅行者の双方で未払いが発生しており、国や自治体が公費で一部を穴埋めせざるをえないケースも報告されてきた。
こうした状況を踏まえ、政府は入国前に民間医療保険への加入を求める制度の創設を検討している。観光庁などの調査では、多くの旅行者が何らかの旅行保険に入っている一方、3割前後は未加入とのデータもあり、病気や事故で高額な医療費が発生した際のリスクが指摘されてきた。保険加入を入国条件とするのか、どの水準の補償を求めるのかといった点は、2025年12月以降に関係省庁で協議が進む見通しだ。
医療費不払い情報の扱いも変わろうとしている。現在は20万円以上の未払いがあった場合に入管庁へ報告する運用だが、来年度からは1万円以上に引き下げ、入国審査の判断材料とする案が示されている。小さな金額でも積み重なれば医療機関の負担は重く、報告基準の見直しで早い段階からリスクを把握したい考えだ。一方で、細かな情報がどこまで共有されるべきか、プライバシーや観光への影響も含めた議論が続きそうである。
情報がデジタルで結びつくほど、制度のすき間は狭まり、暮らしの輪郭もはっきりしていく。その変化をどう受け止めるかは、日本に暮らす一人ひとりの視線に委ねられているように見える。
