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国際電気通信連合(ITU)が2025年の世界のインターネット利用状況を示す最新の統計を公表した。推計では、世界人口の約4分の3に当たるおよそ60億人がネットを使うようになる。数字だけを見れば、接続はほぼ当たり前になったようにも映る。しかし、報告書が強調したのは、地域や所得によって利用環境に大きな差が残っている現実だ。高速通信に届かない人や、料金の負担が重く接続を諦める人も多い。誰もが安心してつながれる社会をつくるには、なお多くの課題が横たわっている。
世界の接続は広がる一方で質の差が深まる
報告書によると、2025年時点でインターネットを利用する人は推計60億人、世界人口の74%に達する見通しだ。前年の推計値から数億人規模で増え、オンラインになる人の数自体は着実に増加している。国連の専門機関として通信分野の統計を集めてきたITUは、教育や行政サービス、医療など多くの分野でネット接続が前提になりつつあると指摘する。その一方で、誰もが同じ条件でデジタル技術の恩恵を受けられているわけではない現状も、同じデータから浮かび上がる。
報告書が示すキーワードは「デジタル格差(ICTを使える人と使えない人の差)」だ。インターネットにつながっているかどうかだけでなく、回線の速度や通信の安定性、料金の負担感、デジタル機器や操作に慣れているかといった条件が、生活の選択肢を左右しつつある。ITUは、こうした格差が放置されれば、社会や経済の不平等が一段と固定化されるおそれがあると警鐘を鳴らし、各国政府や企業、市民社会の連携した取り組みを促している。
所得や地域で分かれるインターネットの届き方
統計を所得水準別に見ると、接続状況の違いはよりはっきりする。高所得国では人口の94%がインターネットを利用しているのに対し、低所得国では23%にとどまる。ほぼ全員がオンラインで暮らす社会と、4人に3人が依然としてオフラインの社会が、地球上に同時に存在していることになる。教育や仕事の情報がネットに集約されるなかで、後者の人々は学びや収入の機会を得にくい状況に置かれやすい。
住む場所による差も大きい。都市部では人口の85%がネットにアクセスできるのに対し、農村部で利用できるのは58%にとどまる。山間部や離島などでは、基地局や光ファイバー網を整備するコストが高く、採算が取りにくいことが一因とされる。結果として、医療や行政サービスをオンラインで受けられる人と、最寄りの窓口まで長時間移動せざるを得ない人との間で、生活のしやすさに差が生じている。
5G普及の陰で広がる「通信の質」のギャップ
次世代の通信規格である5G(第5世代移動通信システム)の普及状況にも、構造的な偏りが見える。人口全体の55%が5Gのサービスエリアに入るようになった一方で、その恩恵を受けられる人の割合は国によって大きく異なる。高所得国では84%の人が5Gにアクセスできるのに対し、低所得国では4%に過ぎないとされ、より高速な通信になるほど格差が拡大している現実が浮き彫りになっている。
高精細な動画配信やオンライン診療、遠隔教育など、多くの新しいサービスは大容量かつ安定した通信を前提としている。形式上はインターネットにつながっていても、回線速度が遅かったり、通信量の上限を気にして十分に使えなかったりすれば、利用できるサービスは限られる。ITUは、ネットの有無だけでなく「どの程度の質で、いくらの料金で使えるか」を重視した政策づくりが不可欠だと訴える。高速通信網の整備と同時に、料金の引き下げ支援やデジタルスキルの学習機会を広げる取り組みが求められている。