河村たかし氏、日本保守党の解任通告を拒否し離党で勢力揺らぐ

日本保守党の内紛が表面化した。共同代表の河村たかし衆院議員が共同代表解任の通告を受けていたことが関係者の証言で明らかになり、河村氏は通告を拒否したうえで「保守党を解党もしくは分党すべきだ」との文書を提出したという。両者の対立は長期化しており、河村氏は離党し新党結成へ動く見通しだ。保守陣営の勢力図が揺れかねない局面である。

何が起きたのか

事の発端は、党運営を巡る不一致が積み重なり、関係修復が困難になったことにある。関係者の説明では、河村氏は共同代表解任を一方的に告げられたと受け止め、即時の受諾を拒んだという。党本部からの公式発表は現時点で確認されておらず、事実関係は当事者間の主張が交錯している。

河村氏は、百田尚樹代表に対し、党の進路を根本から問い直すべきだと迫った。提起したのは、解党もしくは分党という強い選択肢である。党の理念と組織運営が一致しないならば、無理な延命ではなく、責任を伴う決断が必要だという論理だ。強硬に映るが、党の統治をめぐる危機感の表れでもある。

文書の日付は2025年9月30日で、短期決戦の構えがにじむ。周辺によれば、河村氏は離党の準備を進め、新党を立ち上げる意思を固めつつあるという。周囲の支援者や地方議員との連携が動き出せば、国政と地域の両面で新たな受け皿づくりが加速する可能性がある。

対立の経緯

対立の分岐点は名古屋での会談にあった。関係者の証言によれば、2025年9月19日に河村氏は百田代表、有本香事務総長と向き合い、その場で共同代表解任の通告を受けたという。唐突な通告の受け止めは重く、即答は避け、いったん持ち帰る判断をしたとされる。

同じ場で、地域政党「減税日本」との特別友党関係の解消も伝えられたとされる。減税日本は地域主権や税負担の軽減を掲げてきた流れがあり、友党関係は保守党にとって地方の実動部隊との接点でもあった。関係解消は地方基盤への影響が小さくなく、現場には動揺が広がった。

河村氏は回答を保留した後、名古屋市議や愛知県議らと協議を重ねた。地方組織は国政政党の意思決定と密接につながる一方、地域の事情に根差す自律性も強い。今回の通告はその綱引きを一気に強め、党内の求心力と地方の現場感覚のずれを露わにした。対立は個人間の不和にとどまらず、組織構造の歪みを映している。

双方の主張とこれから

河村氏は百田代表宛ての文書で、共同代表解任を「承諾できない」と明確に退けた。さらに、友党関係の解消を「根拠なき一方的な通告」と批判し、信頼関係は崩壊したと断じた。強い言葉を選んだ背景には、党の意思決定プロセスが透明性を欠いたという不満が横たわる。

一方、党側の見解や手続きの詳細は、公開の場では定まっていない。現時点で党本部の公式説明は確認されておらず、通告の法的・規約上の位置づけも不透明だ。規約の運用、役員人事の権限、友党関係の扱いなど、論点は多岐にわたる。今後の公表内容次第で、評価は大きく変わり得る局面である。

当面の焦点は、離党と新党設立のスケジュール感だ。国会会期や地方選の日程、支援団体との調整を考えれば、拙速な離合集散はリスクも大きい。それでも、現体制への不信が臨界点に達しているならば、早期の区切りが選ばれるかもしれない。内部対立の収束か、新たな再編か、分岐点は近い。