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午前2時すぎ、熊谷市の住宅から「窓ガラスを壊され、物色された」と通報が入った。夜明けまでに同様の連絡が重なり、半径100mほどの範囲で8軒が被害に遭った。窓を割って侵入し、現金43万円と貴金属367万円相当が奪われた。住民にけがはなく、手口が似ることから警察は同一犯の可能性を視野に捜査している。出来事は短い距離に集中的に起き、地域の脆弱さをあぶり出した。
半径100mで重なった8軒の被害
玉井や肥塚の住宅街で、1階の窓ガラスが割られた住宅が相次いだ。いずれも2階建てで、住人が侵入者と鉢合わせる事態は避けられた。通報は未明から早朝にかけて集中し、警察官が慌ただしく周辺を確認する光景が続いた。静かな生活圏のすぐそばで、見えにくい空白の時間が突かれた格好だ。
被害総額は現金と貴金属を合わせた合計額に達し、盗まれた品は持ち運びやすい物が中心とみられる。鍵そのものより、窓ガラスの破壊で侵入経路をこじ開ける型が目立つ。住宅8軒はいずれも歩いて数分の距離に収まり、犯行の移動動線が短いことがうかがえる。範囲の狭さは、発見までの時間差も小さくした。
集中的に狙われた地点は、道路の入り組みや塀の高さなど、外からの死角が重なりやすい要素を含む場合がある。現場付近では、割られた窓の破片が朝の光を受けてきらめき、片付けに追われる住人の動きが続いた。平日の朝の通勤や通学の足が交わる中で、いつもの生活と非日常の線引きがにわかに曖昧になった。
似た手口が示す捜査の焦点
通報の時刻帯、侵入方法、対象の特性に共通点が多いことから、警察は同一犯の可能性を慎重に見ている。短い距離で連続し、住人不在や就寝の時間帯を狙うパターンは、犯行の回転を高めやすい。足早に複数の家を渡り歩くには、あらかじめ導線を描いていたとも読み取れるが、現時点で断定はできない。
侵入窃盗（住居などに破壊や解錠で入り金品を盗む犯罪）は、数分の作業で突破されることがある。窓ガラスはこじ破りに弱点が出やすく、玄関よりも狙われやすいとされる。未明の街路は人通りが少なく、物音が生活音に紛れやすい。今回のように同一エリアで重なると、目撃の断片が鍵になる。
一般に、捜査では工具痕や踏み跡、防犯カメラの連続した動線など、複数現場の共通項を束ねる作業が要となる。範囲が絞られているぶん、時系列の重ね合わせで特徴が浮かびやすい。被害の連続は不安を広げるが、共通点が多いほど手掛かりは集約する。見えてくる輪郭を、どこまで詰められるかが勝負どころだ。
日常を守る小さな備え
窓からの侵入を遅らせる工夫が、時間との攻防を変える。クレセントに補助錠を足し、解錠に手間を要する仕掛けを増やす。ガラスの一部に衝撃へ強いシートを貼る、面格子の固定を見直すなど、突破に要する数十秒を数分に伸ばす備えが有効だ。音や光で知らせる簡易センサーも、周囲の目を呼び戻す。
在宅時でも施錠を徹底し、夜間はカーテンで室内の様子を隠す。屋外は足場になり得る物を窓際に置かない。地域では、夜明け前の散歩や通勤の人が異変を見つけやすい。割れたような音や不自然な明かりに気づいたら、無理に近づかず通報する。情報が早く共有されれば、連続性を断ち切る力になる。
