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捜査官が段ボール箱を抱えて都心のオフィスビルに入っていったのは、2025年11月19日のことだ。独占禁止法違反の疑いで、公正取引委員会が世界的な眼鏡メーカーの日本法人、ルックスオティカジャパンに立ち入り検査を行った。人気サングラスの価格を、小売店の裁量で下げられないよう縛っていたのではないかという疑いが持たれている。
人気サングラスの値下げ制限疑惑、公取委が踏み込んだ理由
ルックスオティカジャパンは、レイバンやオークリーといった自社ブランドのサングラスを扱う欧州大手エシロール・ルックスオティカの子会社で、日本のアイウエア市場でも大きな存在感を持つ。関係者によると、同社は数年前から一部の売れ筋商品について、小売店に対し自社が示す希望小売価格からの値下げを控えるよう求めていた疑いがある。さらに、セールなどで割引をする際にも、あらかじめ決めた上限の割引率を超えないよう要請していたとされる。
公取委が問題視するのは、こうした要請が単なる希望にとどまらず、従わなければ不利な扱いを受けると小売側が受け止めるような形で行われていたかどうかだ。供給元が圧倒的なブランド力や仕入れの優位な立場を背景に価格を事実上固定していれば、「再販売価格の拘束」として独禁法が禁じる行為に当たる可能性がある。人気ブランドを扱えるかどうかは、眼鏡店の売り上げを左右し得るだけに、現場でどのようなやり取りがあったのかが焦点となる。いまは立ち入り検査が始まった段階であり、事実関係の解明はこれからだ。
再販売価格の拘束とは何か、広がる市場への影響
再販売価格の拘束とは、メーカーなどが小売業者に対し、商品の販売価格を指定し、それより安く売らないよう縛る行為を指す。独禁法は、教科書や一部の書籍などを除き、メーカーが希望小売価格を示すこと自体は認めつつも、実際の価格設定は各店が自由に決められなければならないと定めている。価格が人為的に高く保たれれば、値下げ競争が働かず、消費者が本来より高い代金を払い続けることにつながると考えられているためだ。今回のケースも、その線引きが守られていたかどうかが問われている。
矢野経済研究所の調べでは、2023年の既製サングラスの国内市場は約396億円規模とされ、新型コロナ禍後の外出増加や紫外線対策への関心から拡大が続いてきた。中でもレイバンなどの世界的ブランドは、ファッション性と機能性を兼ね備えた定番品として支持を集めている。そうした商品で値引きがほとんどできない仕組みが広がれば、夏のセールやオンラインショップでの価格比較に期待してきた消費者にとって、選択肢の狭まりにつながりかねない。伸びる市場のなかで価格の決まり方が健全かどうか、公取委の調査はその足元を照らす作業でもある。
ブランドの魅力と価格の納得感、その均衡がどこに落ち着くのかを見極める局面が静かに近づいている。