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2025年10月23日朝、盛岡市中心部の川沿いでクマ1頭の出没が相次いで確認され、通勤・通学の時間帯に緊張が走った。市は公式サイトで夜間・早朝の目撃増加を示し、周辺の外出に十分注意するよう呼びかけている。県は今季、全域に警報を発し、行動指針の徹底を求めている。
朝の中心部に走った緊張
秋の空気がひんやりと残る朝、盛岡の中心部で「クマ出没」の情報が広がった。川沿いの通勤路や商店街に足早な人波ができ、遠巻きに様子をうかがう姿が重なる。市は早朝や夜間の目撃が増えているとして、不要不急の近づきを避けるよう繰り返し注意を促した。周囲には不安と警戒が静かに広がっている。
現時点で確認されている範囲では、出没は市街地の川沿いややぶに身を潜める形で見つかるケースが目立つ。警察や猟友会、市の担当部署が連携し、被害防止に向けた体制を敷いている。巡回や呼びかけを通じて、通行人に川沿いを避けるルート選択を求める動きが早朝から続いたとみられる。市中心部の緊張はしばらく続いたと映る。
市の警戒は一過性にとどまらない。ここ数日、市街地での目撃が相次ぐ背景を踏まえ、公式情報は23日に更新された。住民には落ち着いて距離を取り、立ち止まっての撮影や追跡など、動物を刺激する行為を避ける基本動作が強く求められている。朝の街に、いつもと違う足取りの速さが残った。
出没相次ぐ背景と数字が語るいま
出没が目立つ季節要因もある。市は今季、クリやカキなど人の生活圏にある果実がクマを引き寄せ、親子グマが集まりやすい傾向が出ていると説明する。山の実りが少ない年は市街地への移動が増えることもあるとされ、身近な場所での遭遇リスクが高まっている。生活圏のすぐそばで野生と交差する現実が浮かぶ。
数字も緊張感を物語る。市の集計では令和7年度の出没等件数が計321件で、内訳は目撃232件、痕跡30件、農作物被害57件、人身被害2件となっている。県全体でも4月1日から10月15日までに29件30名の人身被害が確認され、注意喚起の強まりが続いている。統計の重みが、朝の街のざわめきと重なる。
県は7月4日、死亡事故の発生を受けて全域に「ツキノワグマの出没に関する警報」を発表した。背を向けて走らない、ゆっくり後退する、親子グマに近づかないといった基本の行動指針を示し、地域ぐるみでの誘引物の管理や早期収穫の徹底を求めている。警報下での備えが、街の安全を支える土台となる。
市民がとれる備え、地域で守る目
市は、鈴やラジオで存在を知らせる、周囲の低木を刈り払い見通しを確保する、生ごみや果実残さを適切に処理するなど、日常の工夫を挙げる。味を覚えた個体は繰り返し通うとされ、庭木の放置果や屋外保管のペットフードなどは確実に管理することが肝心である。小さな手間が大きな抑止につながる。
遭遇時は刺激しないが鉄則だ。背を向けずゆっくり距離を取り、可能なら木や岩を間に挟む。忌避スプレーを携行していれば風向きを確認して使用する。至近距離の突発遭遇では頭部や顔面を守りうつ伏せになるなど、致命的なダメージを避ける姿勢づくりが鍵となる。冷静さが身を守る。
情報の共有も被害を防ぐ。開庁時間は市役所、閉庁時間は警察への通報を基本に、目撃日時や場所、頭数、逃走方向などを落ち着いて伝える。川沿いや住宅街の動線では、地域で誘引物を除く取り組みを広げたい。人と野生が交わる街で、距離と配慮が暮らしを守ると映る。
