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ウィーン工科大学やドイツ物理工学研究所(PTB)などのチームと、中国の清華大学などのチームが、トリウム229の原子核遷移を基準とする作動型の「原子核時計」をそれぞれ実証した。成果は2026年10月7日公開のNature論文に掲載された。ロイターなどは、独立に開発された2つの装置を世界初の作動する原子核時計と位置付けている。
原子核を基準にレーザーのずれを補正
今回の到達点は、原子核遷移そのものを使ってレーザー周波数を制御したことにある。2024年までに、外部の周波数標準で安定化したレーザーでトリウム229を励起し、その遷移周波数を精密に測る研究は実現していた。今回は、原子核の吸収信号をもとにレーザーのずれを検出し、フィードバックで自動補正する時計動作に進んだ。
ウィーン側は、室温のミリメートル規模のフッ化カルシウム結晶に含まれるトリウム229を使用。吸収分光に基づく高速フィードバックで、連続波レーザーを約148ナノメートルの核遷移に安定化した。
北京側もトリウム229を含むフッ化カルシウム結晶を用い、148.4ナノメートルの連続波レーザーを安定化した。カドミウム蒸気中の四光波混合で約10マイクロワットの真空紫外光を発生させ、吸収信号を周波数制御に使った。
安定性を測定、暗黒物質研究にも利用
両チームは、原子核の遷移を基準にレーザーの周波数を安定させることに成功した。ウィーン側は長時間の運転で周波数の揺らぎを抑えられることを確認し、北京側も別々に製作した2つの結晶を使い、ほぼ同じ周波数を再現できることを示した。
現段階では最高性能の光原子時計には及ばないものの、ウィーン側は開発した時計を基礎物理研究にも活用。原子核のエネルギーが時間とともに変化する可能性を調べ、超軽量暗黒物質の理論モデルに新たな制約を与えた。
Thorsten Schumm氏は将来用途として衛星航法、データ転送の同期、測量、計測学を挙げている。今後は、より強いレーザーや改良したトリウム結晶による性能向上が課題となる。
