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「寒いけど、もう少し頑張ってください」。25日夜、大阪府吹田市の商業施設エキスポシティにそびえる観覧車オオサカホイールの高所で、消防隊員の声が暗い空気の中に響いた。夕方の落雷がきっかけで観覧車が止まり、家族連れなど9組、約20人がゴンドラに閉じ込められたのだ。救助が完了したのは約9時間後の26日午前2時40分ごろで、けが人はいなかったが、長時間の足止めは国内最高高さを誇る施設の安全体制に光を当てている。
落雷で止まった観覧車、9時間の救助劇
25日午後5時40分ごろ、雷雨の中で観覧車が突然停止した。ゴンドラは高さ数十メートルの空中で止まり、乗っていた人たちは身動きが取れなくなった。運営会社によると、落雷による一時停電で駆動システムが故障し、自力での再起動はできなかったという。スタッフ約10人が非常用の装置を使って骨組みを少しずつ動かし、低い位置まで来たゴンドラから順番に地上へ降ろしていった。
当初は「3~4時間程度で全てのゴンドラを戻せる」と見込み、会社側が単独で作業を続けたが、装置の巻き上げ速度が落ち、1台あたりの作業時間は想定の数倍に延びた。寒さが増す中、高所に残るゴンドラもあり、午後9時ごろには乗客の家族から「子どもが閉じ込められ寒がっている」と消防に通報が入る。その後、はしご車が出動し、計約20人のうち複数人が高所から救出された。最後の1組が地上に降りたのは、停止からおよそ9時間後だった。
通報判断と天候リスク、安全をどう高めるか
運営会社は、事故当初に消防へ連絡しなかった判断について「マニュアル通りに救助が進んでいると考えた」と説明している。社内規定では、トラブル時に吹田市や土地の管理会社へは連絡する一方、119番は火災など直接人命に関わる事態を想定していた。しかしゴンドラの降下に時間がかかり、乗客の体調悪化も懸念されたため、午後9時20分ごろになって消防への通報に踏み切ったという。救助後には毛布で体を温める乗客の姿も見られ、消防本部は「異常があれば早めに知らせてほしい」と呼びかけている。
この日、近畿地方には雷注意報が出ており、同じ時間帯にJR東海道線でも信号機の故障で多数の列車が運休するなど、落雷の影響が広い範囲に及んでいた。オオサカホイールは高さ123m、ゴンドラ72台を備えた日本一の観覧車で、2016年の開業以来、地域の象徴となってきた。大規模な遊具は停電や機械故障が起きると、手作業での救助に長い時間がかかる。その現実が、夜通し続いた今回の作業であらためて示された。運営会社は当面の運行休止を決め、原因調査と再発防止策を進めるとしている。
