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参院選の「一票の格差」を巡る訴訟で、高裁判断が相次いでいる。現時点で確認されている範囲では、7月の参院選の最大格差は3.13倍とされ、各地の裁判所は「違憲状態」と「合憲」の結論が分かれている。選挙無効の請求は退けられる傾向が広がっており、最終判断は最高裁が示す見通しである。
相次ぐ高裁判断と分かれる結論
10月29日、名古屋高裁金沢支部は、7月の参院選について投票価値の不均衡が憲法上の問題となる程度に達していたとして「違憲状態」と判断しつつ、選挙無効の請求は棄却した。最大格差は最少の選挙区と最多の神奈川県の間で3.13倍と整理し、前回からの拡大を重視した判断である。
一方で、10月24日の大阪高裁は「合憲」との結論を示し、各地で見解の相違が生じている。いずれの判断も選挙無効までは踏み込まず、制度の見直しは立法府の裁量に委ねられるべきだとする姿勢がにじむとみられる。こうした高裁段階での評価の差異が、今後の最高裁の統一判断の素材となっていく。
最大3.13倍という格差と法的基準
2025年7月の参院選では、議員1人当たりの有権者数の最大格差が3.13倍に達したと整理されている。前回2022年の3.03倍からの拡大であり、人口動態の変化や選挙区の設計の在り方が改めて問われている状況である。格差の上昇は、投票価値の平等という憲法上の要請との緊張を高めている。
最高裁は過去の判決で、参院選の格差が3.03倍だった事案を「合憲」としつつ、国会に対し是正の取り組みを求めてきた経緯がある。下級審でも、投票価値の不均衡が「違憲状態」に当たるか、直ちに「違憲・無効」に至るかを峻別する枠組みが確立しているとされ、無効判断には慎重であることがうかがえる。
今後の焦点と制度見直し
各地の高裁・支部の判断が出そろった段階で、最高裁が統一的な結論を示す見通しである。過去と同様に国会の是正努力の評価が焦点となり、合区や定数配分の在り方、都道府県単位の区割りを含む制度設計が議論の中心になっていくとみられる。選挙制度の理念と現実の人口分布をどう調和させるかが問われている。
広島県選挙区を含む各地域の得票状況や有権者分布は選挙ごとに変動しており、格差抑制の手当てをどの周期と手法で講じるかが課題である。現時点では選挙の効力自体を否定する判断は広がっておらず、投票価値の平等を実効化するための立法措置の内容と時期が、今後の司法判断と国政の双方で注視されている。
