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米コールソン・アビエーションは2025年12月22日、ボーイング767をベースにした新たな超大型空中消火機「767 VLAT」の計画を立ち上げた。火災対応で「大量の消火薬剤を一度に運ぶ」という役割は、機材の高齢化で先細りしやすい。次の一手が、現場の時間稼ぎをどう支えるかが焦点になる。
頼みの綱だった「一撃」の枠が揺らぐ
VLATは、米森林局が「8,000ガロン超を投下できる空中消火機」と整理するカテゴリだ。小型機のように細かく回転して撒くのではなく、火線の伸びを押さえ込み、地上隊がラインを作る時間を稼ぐ使い方が主戦場になる。火が跳ねる日の午後、短時間に面で抑えたい局面ほど価値が出る。
一方で、そのVLATを担ってきた大型機が、退役や運航制約で減りやすいという構造問題がある。AeroTimeは、MD-11やDC-10の運用が止まったことが「高容量の空中消火力が急に細る」リスクを浮き彫りにしたと伝えた。機体を確保できても、整備や部品、認証の壁で運用は簡単に増やせない。
767を選ぶ理由、埋まるのは機体か運用か
コールソンの発表では、767 VLATは同社のRADSを最大仕様で組み込み、現役のVLATを上回るタンク容量を目指す。RADSは、ひとことで言うと消火薬剤の投下量と流量を制御する散布システムだ。さらに160人超の輸送能力も残す設計だとしており、火災と人員輸送をにらむ多目的運用も視野に入る。設計や構造解析、統合計画は着手済みだという。
ただ、現場が本当に欲しいのは「何機作るか」だけではなく、「どこで、いつ、どれだけ回せるか」だ。NIFCはVLATは機動性が下がり、投下高度にも制約があると説明する。つまり、基地空港の滑走路や補給体制、出動の組み立てまで含めて初めて戦力になる。767 VLATがC-130Hや737 Firelinerとどう役割分担し、長い火災シーズンの穴を埋めるのか。計画は、その運用設計まで問う段階に入る。
