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警視庁が2025年9月29日、神奈川県藤沢市の大学1年の男子学生(19)を、生成AIで作られたわいせつ画像のポスター販売とオンラインカジノでの賭博の疑いで東京地検に書類送検する方針を固めた。AI画像の商用化とオンカジ依存という二つの火種が、同じ若者の手元で結びついた形だ。捜査の視線は「稼ぎ」と「負け」を往復する現代の闇を追っている。
学生は何をしたのか
捜査関係者によると、学生は海外サイトで流通するAI生成のわいせつ画像を入手し、紙のポスターにして販売していた疑いがある。容疑はわいせつ図画頒布のほか、国内からの接続で賭博を行った単純賭博などに及ぶ。書類送検の手続きは29日に進む見通しだ。
動きが表面化したのは昨年10月の出品だという。匿名性の高いネットオークションに並んだのは、現実に存在しない「AI美女」の姿だった。鮮やかな配色と過剰な身体表現が、手頃な印刷物となって取引された。
一方で、学生は春から夏にかけて海外のカジノサイトにアクセスし、スポーツ賭博やテーブルゲームにのめり込んでいたとされる。画面越しの賭け金は、クリックの軽さに反して現実の財布を確実に削った。
任意の聴取に対し、学生は「オンラインカジノの負けを取り返すためにポスターを売った」と話したという。負けを追う心理は、稼ぎの口実をすぐに見つける。AI画像はその口実になりやすかった。
出品タイトルには「AI美女」などの刺激的な言葉が並び、購入のハードルを下げた。1点あたりは300円から2000円程度で、相場感の薄い層を吸い寄せた形だ。
結果として売上は約28万円に達したとされる。現金化の速度は速く、資金の回転も短かった。
売上の多くは、暗号資産にも対応する海外の大手サイトに入金された。具体名としてスポーツベットアイオーが浮かび、入金と賭けの往復が続いたとみられる。
賭けた総額は約60万円で、最終的な収支はマイナス約20万円だったという。増えない残高が、さらに攻めの賭けを誘う悪循環だった。
何が違法なのか
海外でカジノが合法でも、日本国内から接続して賭博をすれば賭博罪の対象になる、というのが捜査当局の一貫した立場である。日本語対応や広告の派手さに惑わされても、国内ユーザーのクリックは刑法の枠内にとどまる。
実際、警視庁は過去にもオンラインカジノ利用者を一斉に摘発している。消防職員を含む全国の男女57人が書類送検された事案は記憶に新しい。暗号資産の利便性が、違法性の認識を鈍らせる構図が繰り返された。
ことし春には、人気お笑いタレントら6人についても書類送検の方針が報じられた。知名度の高い人物の関与が明るみに出るたび、違法性の線引きがあらためて問い直されている。
当局は「海外では合法」と強調する広告や、「日本には取り締まる法律がない」といった誤情報に警鐘を鳴らしてきた。依存の芽を早期に摘むための周知と、相談窓口の案内も並走する。クリックの向こうに刑事責任と生活破綻が隠れる現実を、地道に伝えるしかない。
広がるオンカジとAI画像、重なる課題
警察庁の実態調査では、国内でオンラインカジノを「使ったことがある」と答えた人の推計が約337万人に達した。匿名性と手軽さが裾野を押し広げ、課金ゲームとの境界がにじむ。
同じ調査で、現在も使用している人の推計は約197万人とされた。やめ時の見えない課金は、生活費や学費にまで食い込む。
年代別では20代が31%で最多だった。若年層ほどスマホでの決済や暗号資産に抵抗が薄く、参入の敷居が低い。
30代は27%が続いた。家庭や仕事のストレスと、深夜のワンクリックが結びつく。
10代も6%に上った。校内や部活の外側で形成されるオンラインの友人関係が、誘因になる場面もある。
AI生成画像の取り締まりも進む。神奈川県警は人気アニメの女性キャラクターを卑猥に加工したポスターを販売した2人を、著作権法違反の疑いで書類送検している。実在の被害者がいないと見える表現でも、法は無関係ではない。
今回の学生の出品が発見されたのも、サイバーパトロールがきっかけだった。ネット上の匿名は完全ではなく、痕跡を追えば出品と入金の流れが浮かび上がる。AIが生む画像と、プラットフォームが生む市場性、そしてスマホが生む可処分時間。三つの要素が合わさったとき、違法と依存は簡単に個人の生活へ入り込む。その連鎖を断つには、違法性の認識を早め、安易な“取り返し”の誘惑から距離を取るしかない。