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食品大手の味の素を巡り、東京国税局が2024年3月期までの3年間で約150億円の申告漏れを指摘していたことが、2025年12月18日に関係者への取材で分かった。タイの現地法人に、いわゆるタックスヘイブン対策税制を適用したとされ、追徴税額は加算税を含め約13億円に上る見通しだ。
「税率の低い国」だけの話ではない
今回のポイントは、海外子会社の利益を日本側に“持ち上げて”課税する仕組みが、実際の事業拠点にも及び得る点にある。タックスヘイブン対策税制は、条件によっては海外子会社の所得を親会社の所得に合算して申告する枠組みで、国税側はタイ法人の扱いがその対象になるとみた。
企業側にとっての重さは、金額そのものだけではない。海外での人員配置や意思決定の実態、税負担の水準、グループ内取引の整理など、日々の運用がそのまま“税務上の説明力”になる。東南アジアに生産や販売を広げる企業ほど、現場の実務と日本の制度の接続が課題になりやすい。
不服審判で問われる「線引き」と、残る宿題
味の素は、租税回避の意図はなく外部専門家にも確認した上で適切に処理したとの立場を示し、課税処分を不服として国税不服審判所に審査請求した。審査請求は、税務署長や国税局長の処分に異議がある場合に、第三者的立場で裁決を行う機関に見直しを求める手続きだ。
争点は「子会社の実体」と「どこまで合算を求めるか」という線引きになりそうだ。結論がどう転んでも、企業には海外拠点のガバナンスと税務リスクの可視化を、投資家には不確実性が残る間の説明のあり方を突き付ける。国際展開の収益力を支えるはずの拠点が、別の形で負担を生む構図が浮かぶ。
