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受注の知らせが社内を駆け、現地では準備が動き始めた。太陽工業はドバイの現地法人を通じ、サウジアラビアのアラムコ・スタジアムで膜部分の設計・製造・施工を担う。工期は2026年1〜6月。開業は同年6〜7月を見込み、翌年の大規模サッカー大会の会場に備える。軽く透光性のある膜が、暑熱の地に新しい観戦環境をもたらす。
太陽工業が膜工事を受注し、中東で存在感を広げる
太陽工業は2025年11月12日、アラムコ・スタジアムの膜工事を受注したと公表した。場所は東部のアル・コバール、収容は約4万7000人の多目的施設として構想され、翌年に開業予定だ。大会会場として求められる水準に合わせ、観戦と運営の両面で国際基準を見据えた整備が進む。周辺の整備計画も重なり、都市の新たな拠点づくりが動き出している。
同社が担うのは、花びら状のアルミ屋根の間に取り付ける外装の膜パネルに加え、屋根内部の内装膜、上部の屋根に設ける膜部材までを含む一連の工程だ。設計から製造、施工まで一気通貫で引き受けることで、形状の自由度と施工精度を両立させる。工期は既定の6か月枠で計画され、現場と工場の連携で工程の平準化を図る。
受注はドバイ拠点を経由したもので、同社の中東での対応力を示すものでもある。国際大会に直結する案件は、品質と期日の両立が評価の軸になる。軽量な膜構造の強みを都市スケールのプロジェクトに適用し、地域のスポーツ・エンタメ需要に応える。完成後はイベントの選択肢が広がり、周辺の回遊にも波及が期待される。
有機的デザインとPTFE膜がもたらす快適性と省エネ
外観は沿岸で見られる渦の動きをモチーフにした有機的な造形が特徴だ。設計は国際的な設計事務所ポピュラス(Populous)が主導し、上位大会の要求水準に適合する計画が示されている。スタンドや動線は回転のリズムを取り込み、日射と風の流れを読みながら、内部の明るさと通気性を確保する構成とした。
使われる膜材はPTFE膜(ポリテトラフルオロエチレン膜。ガラス繊維織物にフッ素樹脂をコーティングした複合材)だ。極めて軽量で、支持する鉄骨を小さく抑えられるため、材料と施工の両面で経済的な設計が可能になる。透光性により自然光を拡散して取り込み、昼間の照明需要を抑える効果が見込まれる。
表面の性質は熱のこもりを抑え、スタンドでの体感を和らげる。直射を遮りつつ穏やかな明るさを保つため、まぶしさと暑さのバランスが取りやすい。地域の気候条件に合わせた外皮は、運営時の電力負荷を下げる一助にもなる。光と熱を制御する薄い一枚が、来場者の体験と施設の持続性を静かに支える。
