本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。[続きを表示]ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
記者会見場でフラッシュが続けて光り、アサヒグループホールディングスの勝木敦志社長が深く頭を下げた。サイバー攻撃で止まっていた基幹システムについて、2025年12月2日からシステム経由の受注を段階的に再開すると語り、約2カ月にわたりファクスと電話に頼ってきた現場の負担と、なお続く影響の大きさを認めた。
受注再開へ動き出した現場
同社のシステム障害は、2025年9月29日にサイバー攻撃の影響として公表された。国内の受注・出荷やコールセンターなどが一時的に止まり、その後は日本の拠点で手書き伝票とファクス、電話を組み合わせた暫定運用が続いた。サーバーがランサムウエアと呼ばれる身代金要求型のウイルスに感染したことも後に判明し、復旧作業は慎重に進められてきた。
ようやく12月2日からシステム経由の受注を順次再開し、2026年2月ごろには全商品の出荷が完全には戻らないものの、物流業務を通常に近づける計画だ。同社は、第3四半期と通期の決算発表をシステム復旧後まで延期しており、日本と東アジアではマイナス影響が出る一方、欧州やアジアパシフィックでは計画線で推移していると説明する。年末年始の需要期を前に、国内のサプライチェーンがどこまで整うかが注目されている。
190万件の個人情報リスクが突きつけたもの
会見では、システム障害が表面化するおよそ10日前にネットワークへの侵入があったことも明かされた。漏えいしたか、または漏えいの恐れがある個人情報は合計約190万件に達し、顧客や取引先など幅広い関係者が影響を受ける可能性がある。勝木社長は「システムは脆弱だった」と認め、ウイルス侵入の入り口となりうる部分で防御を強化したと述べたが、なぜここまでの規模になったのかという問いは、なお企業全体の課題として残る。
同社は10月3日の続報で、ランサムウエア攻撃を受けたと公表している。ランサムウエアは、侵入後しばらく潜伏してからデータを暗号化し、復号の見返りに金銭を要求する手口が一般的だ。今回も、障害発生前の侵入が確認されており、監視体制やログ分析の重要性が浮かび上がった。国内では他のメーカーや自治体でも同種の攻撃が相次いでおり、アサヒの事例は「自社だけの問題」にとどまらず、日本企業の情報管理の底力が試されていることを物語っている。
市場と利用者が見ているもの
勝木社長は、2025年12月期の業績悪化は避けられないとしながらも、中長期の事業戦略は変えないと強調した。一方で、みずほ証券のアナリストは、影響が年内で収まらず2026年2月ごろまで続く点をマイナス要因とし、来期以降の業績見通しにも重さが残ると指摘する。サイバー攻撃を公表した直後には株価が下落し、今も「保有を続けるべきか」を巡って投資家の見方が割れている。
一方、スーパーのバックヤードでは、従業員が依然として紙の伝票を手にしながら、順番に商品を積み込む光景があるという。システムが少しずつ再び動き始めても、画面の向こう側で失われた信頼を積み上げ直す作業は、しばらく静かに続いていきそうだ。
