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西アフリカのベナンで7日、一部の兵士が国営テレビに現れ政権掌握を宣言したが、同日夜までにタロン大統領と政府はクーデター未遂を押さえ込んだと発表した。大統領は、忠誠を誓う部隊が反乱勢力から拠点を奪い返したと説明し、関与した兵士は厳しく処罰すると強調している。短時間で終息したこの騒動は、市民の頭上で権力の正統性が揺らぎ得る現実と、クーデター多発地域で高まる不安定さを改めて映し出した。
一日で終わった「政権掌握宣言」が、市民にもたらした緊張
騒動の発端は7日朝だった。迷彩服姿の兵士らが国営テレビ局に押し入り、スタジオから「権力を掌握した」と一方的に宣言したのである。彼らは新たな軍事委員会の樹立や憲法停止を口にし、既存の国家機関の解体を告げたと各国メディアは伝える。首都コトヌーでは大統領公邸周辺などで銃声が報告され、一時は大統領の身柄や治安状況を巡る情報が錯綜した。
市内の一部地区では、軍や治安部隊が交差点を封鎖し、住民は外出を控えるか、短時間で用事を済ませようと動いたと報じられている。フランスや米国の大使館は、不要不急の移動を控えるよう自国民に注意を呼びかけた。一方で、多くの市民は市場や職場に向かい、日常を続けようとしたとの証言もある。混乱は長引かなかったものの、「朝起きたらテレビで別の政権が名乗りを上げていた」という経験は、政治への距離感が近くない人々にも、権力が軍事力によって揺さぶられる現実を意識させた。
タロン政権が前面に出す「忠誠」と、裏切りへの厳罰方針
同日夜、タロン大統領はテレビ演説に立ち、政府と軍の忠誠派が「断固として立ち向かい、われわれの陣地を奪還し、反乱軍が占拠していた最後の抵抗拠点を制圧した」と勝利を宣言した。大統領は、こうした献身的な動員により最悪の事態を防げたと述べる一方、この「裏切り行為」が罰を免れることはないと強い口調で非難した。実際に、十数人規模の兵士が拘束されたとロイターやAP通信は伝えている。
タロン政権は、軍内部の一部不満が暴発したとの見方を示しつつも、「小さなグループ」を素早く制圧したと強調し、統制の維持を印象づけようとしている。兵士側は、北部で続く治安悪化や戦死者遺族への補償不足、人事の不公平さなどを不満の理由に挙げていたとされるが、政府はこれらを公然と議論するより先に、厳罰方針を示すことで同調者の拡大を抑えたい思惑も指摘される。また、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)やアフリカ連合は、今回の試みを「憲法秩序への挑戦」として非難し、必要なら地域部隊を派遣して文民政権を支えると表明した。
クーデター多発の西アフリカで、ベナンが直面する次の課題
今回の未遂は、ここ数年でマリ、ブルキナファソ、ニジェールなど周辺国で相次いだ軍事クーデターの流れの中で起きた。これまで民主化の「優等生」とも評されてきたベナンで、兵士が堂々とテレビに現れ政権交代を宣言した事実は、地域全体の「クーデター常態化」が国境を越えて波及していることを示す。タロン大統領は2016年から政権を担い、来年4月の大統領選で退任する見通しだが、選挙を前にした権力移行期は、軍にとっても政治にとっても不安定さが増しやすい局面である。
アフリカ連合は声明で、いかなる軍事介入も受け入れない「ゼロトレランス」の原則を改めて確認し、憲法秩序と民主的な選挙を守るよう呼びかけた。同時に、今回の反乱兵が訴えた治安や待遇への不満は、単に「裏切り」として処罰するだけでは消えない可能性がある。北部での武装勢力との対立や、兵士とその家族の生活をどう支えるかといった課題に、文民政府と軍が透明性の高い対話で向き合えるかどうかが、次の政権移行期を安定して乗り切れるかを左右しそうだ。短時間で鎮圧されたこのクーデター未遂は、ベナンにとって「勝利」以上に、足元の不安定さをどう解消するかという宿題を突きつけている。
