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2025年10月21日、バイナンスの公式ウォレットアカウントが短い一文を投げた。ボットファームなど不正な自動化ツールの使用に関与したとして、600件を超えるアカウントを停止したという。対象は同社のトークン事前発見プラットフォーム「バイナンスアルファ」。取引の公正性を守るための重い一手と映る。
600超のアカウント停止、舞台は“アルファ”
同社は「バイナンスアルファ」上の取引をめぐり、許可されていない自動化ツールやスクリプト、APIの不正利用を確認したと明らかにした。調査の結果に基づき、関連する600件超のアカウントを停止したと発表した。新規上場前の動きを映す“先回りの場”で、規律強化のメッセージが走ったかたちだ。
同時に、不正取得と判断した資産については回収措置を実施したとしている。具体的な内訳や銘柄、金額の総計は現時点で公表されていないが、短期間に集中的な対応が行われたことがうかがえる。関係者の照会や影響範囲の精査はこれから深まるとみられるが、利用者の資産保護を最優先する姿勢がにじむ。
アルファは早期のトークン発見と取引の場として注目を集め、ポイント獲得を狙う動きも広がってきた。利便性の裏側で自動化の過剰利用が進むと、市場の健全性が損なわれる懸念が募る。今回の停止は、その歪みを正す狙いが色濃い。手作業の価格形成を尊重し、過度なスクリプト依存を抑える流れが広がっている。
報奨金は回収資産の最大50％、規約が支える対応
同社はユーザーからの不正通報を促すため、新たに報奨制度を導入する方針も示した。通報内容に基づき回収された資産額の最大50％を報奨金として支払う見込みだという。開始時期や具体的な手続きは、現時点で確認されている範囲では明らかになっていないが、コミュニティ主導で不正を抑え込む仕組みづくりが進む。
利用規約では、未承認のトレーディングボットやスクリプト、APIの誤用、アカウント共有などを禁止行為として列挙する。自動化行為の禁止を定める条項と、違反時にアカウントを即時停止・制限できる権限を定める条項があり、今回の措置は現行規約に沿った対応とみられる。規約の明確化が、運用判断の拠り所になっている構図だ。
一方で、誤検知や過度な監視への不安も残る。説明責任と異議申し立てのルート整備が鍵になるだろう。健全化と利便性の均衡をどこに置くか。アルファの熱気が続くなか、プラットフォームと利用者双方に試される局面が訪れている。今回の通報報奨は抑止力を強めるが、透明性を伴う継続的な検証が求められる。
