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AIで金属材料の探索から量産設計までを巻き取る中国スタートアップ「創材深造(Deep Material)」が、シリーズAで合世家資本と晨晖資本から数千万元を調達した。資金は新材料の開発・改良、ハイスループット実験室の増強、AIモデルの高度化、業界特化ソリューションの展開に充てる。同社は2025年9月10日に材料開発AI「DM Agent」を発表し、金属積層造形の実装加速を狙う。
ラボから量産までを束ねる「DM Agent」の正体
展示ブースに並ぶ金属粉末と試験片の列、スタッフは連続する実験ログを示しながら来場者に語りかけていた。Deep Materialはソフトとハードを統合した材料開発AI「DM Agent」を公開した。大型の基盤モデルと専門モデルを協調させ、自社の高通量装置で取得する一貫性の高いデータを循環させる設計だ。2025年9月10日の発表会で、その全体像が明らかになった。
同社は材料データの不足とばらつきというボトルネックを、データを自ら生み出す仕組みで乗り越えると強調する。多モーダルの“材料インテリジェント体”と高通量実験を組み合わせ、配合や工法を予測的に最適化するアプローチである。確認できた範囲では、従来は数年から十年以上かかった開発期間を最短二カ月規模まで圧縮し、コストも桁違いに抑える効果が出ているとみられる。
資金の使い道と勝ち筋
資金面でも動きが続いた。2025年9月3日、同社はシリーズAで数千万元の資金調達を公表し、出資に合世家資本と晨晖資本が参加した。用途は新材料の反復開発、実験室の自動化アップグレード、AIモデルの開発、垂直産業シナリオの大規模運用と整理されている。投資家側は、AIと増材製造を接続する“デジタル化の破壁”に期待を示していると映る。
創業者の王軒沢氏は、材料企業に必要なのは開発効率を高めるアルゴリズムの力と、産業化をやり切る力の両輪だと語る。量産工程を自社でコントロールできなければ価値は薄れるとの問題意識から、同社は2023年以降、受託中心の体制を改め、需要が大きく難易度の高い材料を自社主導で攻める方針へ舵を切った。この転換が事業の推進力になっている構図が浮かぶ。
広がる金属AMの射程
金属3Dプリントの材料は世界的にまだ標準素材に偏る傾向が強い。アルミ合金や耐熱合金、チタン合金、ステンレスが主流で、航空宇宙やデジタル機器が求める軽量で高強度な特性を安定して満たす銘柄は限られているのが実情だ。こうした隘路で、実験データとAIを束ねる同社の方式は、新材料で製品の限界を押し広げる試みとして注目度が高まっている。
発表会では中高強度アルミ合金、ニッケル基耐熱合金、モールド鋼などの新材料群が予告され、量産適性を意識した設計思想がにじんだ。研究機関から量産メーカーまでの橋渡しを自社で担うモデルは、用途拡大と製造コストの圧縮を同時に狙う発想である。今後、検証の進捗と量産ラインの立ち上げが確かめられれば、サプライチェーンに与える影響は一段と広がっていくとみられる。