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スマホ画面に届いた配送完了の通知を合図に、宅配業者が玄関前に箱を置く。そんな当たり前の光景が、刑事たちには重要な手掛かりになったという。京都府警捜査5課と下鴨署は19日、他人名義のデビットカードで腕時計を購入したとして、中国籍の27歳の留学生の男と47歳の無職の女を逮捕した。2人は京都市北区と兵庫県伊丹市の住宅で暮らしていた。
他人のカード情報で腕時計を注文 自宅に届けさせた疑い
府警によると、2人は氏名不詳の人物と共謀し、6月2日から5日にかけて東京都内の海外商品輸入販売会社の通販サイトにアクセスしたとされる。他人名義のデビットカード番号を入力し、計4万6千円相当の腕時計2点を注文し、自宅を配送先に指定して受け取った疑いだ。代金は本来の名義人の口座から引き落とされ、腕時計だけが2人側に渡った構図になる。
適用されたのは、他人の決済データを不正に作る「私電磁的記録不正作出・同供用」の罪と窃盗容疑である。番号さえ分かればカード本体を盗まなくても被害が出るため、オンライン決済の普及とともに被害確認の難しさが課題になっている。取り調べに対し、2人はいずれも容疑を否認し、男は「覚えていない」と話しているという。府警はカード情報の流出経路や、指示役とされる人物の特定を急ぐ方針だ。
トクリュウ型グループとデジタル決済犯罪の広がり
捜査当局は、2人が中国人を中心とする「匿名・流動型犯罪グループ」、いわゆるトクリュウの一員とみている。トクリュウとは、SNSを通じてゆるく結びついた外国人らが、役割を分担しながら短期間で犯行を繰り返す形態の犯罪グループを指す。京都府警は今年2月、工事現場から1億円超相当の銅線を盗んだとしてベトナム人5人を逮捕した事件でも、同様のネットワークの関与を指摘しており、国籍や地域をまたぐ新しいタイプの窃盗集団として警戒を強めている。
今回の2人も、SNSのメッセージを通じて商品購入や受け取り、転売の方法まで細かく指示を受けていたとされる。不正に入手した腕時計などはフリーマーケットサイトで換金され、売上はグループ側に送金されたという。47歳の女は昨年11月以降だけで少なくとも2千万円以上を売り上げ、その一部を報酬として受け取っていたとみられる。京都府警は、ペーパーカンパニーを多数設立して詐欺グループの口座を開いたとして中国籍の男女らが摘発された別事件との関連も視野に、デジタル決済と匿名口座を悪用した国際的な犯罪の実態解明を進めている。
玄関先に届く小さな荷物の陰で、見えにくい犯罪の網が静かに広がっている。