資金確保と身軽化を両立　電通グループ、銀座ビル手放す

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2025.12.25

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電通グループは2025年12月24日、東京都中央区銀座の「電通銀座ビル」を売却すると発表した。譲渡（引き渡し）は2026年1月30日を予定し、譲渡益は約300億円を見込む。譲渡先は守秘義務契約を理由に公表しない。狙いは、必要資金を確保しつつ、老朽化した資産の維持負担を軽くすることにある。

「残すコスト」を減らす。古いビルが生む固定費の重さ

今回の売却は、単に利益を得る取引というより、保有し続けること自体がコストになる資産を整理する動きだ。電通グループは、修繕費や固定資産税などの支出を抑えることも目的に挙げる。銀座の一等地にある建物でも、築年数が進めば「持っているだけで出ていくお金」が増え、事業の選択肢を狭めやすい。

銀座の通りを歩くと、建物の使われ方は夜でも何となく伝わる。明かりが少ないフロアが増えるほど、維持のためだけに費用がかかる状態になりやすい。売却で得られる資金だけでなく、こうした固定費の圧縮が、次の打ち手を増やす余地になる。

資金の使い道は「資本配分」。損益への効き方は限定的でも

電通グループは、資金ニーズに充当すると説明した。ここで言うキャピタルアロケーションは、ひとことで言うと「どの事業や投資に資金を振り向けるか」という資本配分だ。譲渡益は2026年度に約300億円を見込み、国際会計基準（IFRS）ベースでは営業利益に約300億円、親会社株主に帰属する当期利益に約220億円のプラス影響を見込むとしている。

一方で、調整後営業利益などには影響しない見通しも示した。つまり「一度きりの売却益」で数字が持ち上がっても、事業の稼ぐ力そのものが同じ幅で変わるとは限らない。市場が次に注視するのは、売却で得た余力が、成長投資や財務の立て直しにどう配分されるのかという点になりそうだ。