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世界のゲーム大手、エレクトロニック・アーツ(EA)が非公開化に踏み切る。2025年9月30日、サウジの政府系基金PIFやシルバー・レイク、ジャレッド・クシュナー氏のアフィニティ・パートナーズらの投資家連合に売却で合意した。企業価値は約550億ドル、過去最大級のLBOが動き出した。
合意の中身と規模感
条件はEA株を1株当たり現金210ドルで買い取る内容である。提示価格は交渉観測が表面化する前の株価に対し25%のプレミアムをのせる水準とされた。取引成立後は株式が上場廃止となり、同社は完全な非公開企業へ移行する。
買い手はPIF、シルバー・レイク、アフィニティのコンソーシアムで、資金はエクイティとデットの組み合わせで賄う。出資は約360億ドル、融資はJPモルガンが主力で200億ドルのコミットメントを用意する構成だ。
EAの本社は引き続きカリフォルニア州レッドウッドシティに置かれ、経営トップのアンドリュー・ウィルソン氏が続投する。クロージングは規制と株主承認を前提に、同社の2027年度第1四半期の完了が見込まれる。
なぜ今、そして狙いはどこか
背景には、パンデミック後の需要調整で大型タイトルへの投資が慎重化し、業界の成長テンポが鈍った現実がある。EAも人員見直しやプロジェクト再編を重ね、ライブサービスを軸に収益の再設計を急いできた。
一方でEAのスポーツとシューターの看板は依然強く、年間で安定的に現金を生む構造がある。四半期ごとの視線に縛られぬ非公開化は、開発サイクルの自由度を高め、シリーズの中長期的な磨き込みを後押しする効果が期待される。
買い手側の思惑も重なる。PIFはゲームとスポーツを成長エンジンと位置づけ、ESL FACEITやスコープリーなどに投資を広げてきた。シルバー・レイクはエンタメとテックで大型案件を手がけ、アフィニティはネットワークを資本とする。
残るハードルと市場の受け止め
案件は安全保障審査を含む当局の承認が鍵となる。契約には不成立時の違約条項も盛られ、特定の条件下で10億ドルの解約金が発生する。買収側の資金コミットメントは確保されており、資金面の不確実性は抑えられている。
市場はまず好感で応じた。発表前後でEA株は上昇し、直近の取引では約4.5%高で終えたとの報もある。大型フランチャイズの継続性と、収益の安定感が評価された格好だが、提示価格の妥当性を巡る見方は割れている。
記録的なLBOは、金利低下で融資環境が和らぐ中で再び大型スポンサー取引が動き出した象徴でもある。比較対象として語られるのは2007年のTXUの非公開化で、当時の規模は約450億ドルだった。市場の地図がまた一枚塗り替わる。