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9月、東京・江戸川区西瑞江の路上で、30代の人材派遣会社社長が顔に催涙スプレーのようなものを浴び、現金5300万円を狙われた。警視庁はこの事件で男5人を逮捕した。実行役2人が容疑を認め、残る3人は否認や黙秘の姿勢を見せる。背後に指示役の存在も浮かぶ。街の朝に差し込んだ暴力の影は、どこへ伸びていたのか。
江戸川の路上で何が起きたのか
やわらかな朝の光が落ちる時間帯、会社近くの路上で背後から近づく影があった。被害者は銀行で現金を引き出して戻る途中だったとされ、男らは振り向いた顔に催涙スプレーのようなものを噴射した。男性は目などにけがを負い、現場の空気は一瞬で緊張に包まれたと映る。
事件が起きたのは江戸川区西瑞江の路上である。焦点となった現金は5300万円。警察は多額の資金を狙った計画的犯行とみて、強盗致傷容疑で捜査を進めている。現時点で、現金を奪ったとの発表はなく、未遂の疑いが軸に据えられている。周到な準備の痕跡がにじむ。
周辺の不安は広がった。犯行後、男らは現場を離れたとみられ、捜査員は周辺映像の解析や足取りの特定を急いだ。住宅と店舗が混じる一帯で、日常の風景に突如として暴力が差し込んだ。なぜこの場所、この時間だったのか。偶然か必然か、その問いが残る。
5人逮捕、浮かぶ役割分担
2025年10月4日 02:09に報じられた内容では、警視庁が男5人を逮捕した。21歳の佐伯流星容疑者と22歳の里川玲容疑者が実行役とされ、被害者に催涙スプレーのようなものをかけた疑いが持たれている。ほかの3人は、実行役に対して指示を出すなどして関与したとされる。
実行役の2人は容疑を認め、他の3人は否認や黙秘に転じているという。供述の割れは、計画の実態や役割分担の線引きを探るうえで手がかりとなる。警視庁は他にも指示役がいた可能性を視野に、関係者の通信履歴や移動経路、資金の流れを丁寧にたどっているとみられる。
現時点で確認されている範囲では、被害者と容疑者らの直接の接点は示されていない。標的の選定や現金の情報源はどこにあったのか。内通か偵察か、あるいは偶然の機会か。誰に有利な構図だったのか。捜査の焦点はその分岐に集まり、背後関係の解明が待たれる。
広がる不安と現金管理の課題
狙われたのは紙袋に入った多額の現金だった。企業活動には現金での支払いや運搬が避けられない局面がなお残るが、人目に触れる携行は犯行側に機会を与える。動線や時間帯が固定化すれば、攻撃面の露出は増す。いわば日常の習慣が、犯罪に利用される隙となる。
催涙スプレーのような化学剤は、市販の護身用品として流通し、至近距離で視覚と判断を奪う力を持つ。犯罪側が用いれば、短時間で相手の行動を止め、奪取や逃走の余白を稼ぐ道具に変わる。被害が軽傷にとどまっても、地域に残る萎縮は重い。連鎖を断てるかが問われる。
再発を防ぐには、現金運搬時の複数人対応やルートと時間の複線化、周辺の監視強化が要る。地域の目とカメラの網は、計画型の犯行に対する抑止力になる。今回の逮捕で輪郭は見え始めたが、背後の組織や資金の糸を断ち切れるのか。捜査の歩みが、街の安心に直結する。
