本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。[続きを表示]ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
北九州市の警察寮で、冬の夜に響いていたのは訓練の号令ではなく、笑い声と押し殺したため息だったという。水難事故現場で冷たい海に身を沈めるスクーバ部隊の隊員たちの一部が、任務外の場で屈辱的な行為を強いられていたことが、福岡県警の内部調査で明らかになった。命を守るための専門部隊で、なぜ心身を追い詰めるようないじめが起きたのか。県警が十数人の処分に踏み切る背景には、組織文化と管理体制のゆがみが浮かぶ。
救助のプロ集団で起きた「裸にする」いじめの実態
問題が表面化したのは、福岡県警の第二機動隊に属するスクーバ部隊だ。北九州市に拠点を置き、およそ20人の隊員が、水難事故の救助や水中での証拠品捜索といった高度な任務を担っている。その一角で、特定の隊員が飲み会の後に寮で衣服を脱ぐよう迫られ、全裸の状態にされる行為が繰り返されていたとされる。訓練現場で培われる上下関係が、私的な空間にまで持ち込まれた格好だ。
報道ベースの県警関係者の証言では、別の隊員が真冬にもかかわらずプールへの入水を強要される事案も確認されている。水温の低い環境での急な入水は、低体温症などの危険を伴うが、それが公式な訓練ではなく、いわば「遊び半分」の延長として行われていた点が重い。水難救助の現場では互いの命を預け合う関係が不可欠だが、その信頼を損ねかねない行為が、同じ部隊の中で続いていたことになる。
十数人処分へ 組織ぐるみの管理不全が問われる
福岡県警は、こうした行為をいじめと認定し、加害側とされる隊員だけでなく、当時の上司らも含めた十数人に対し、懲戒や監督上の措置を科す方針だ。個々の行為に直接関わったかどうかだけでなく、寮や部隊内で起きていた問題を見逃した管理責任も問う狙いがあるとみられる。任務の特殊性から「内輪のノリ」が強まりやすい組織ほど、外からの目と通報ルートをどう確保するかが課題となる。
県警監察室は「調査結果を踏まえ、厳正に対処する」とコメントしているが、処分だけで信頼が回復するわけではない。若手隊員が声を上げにくかった背景には、評価や人事への不安、訓練に耐えることこそ一人前という価値観があったと指摘されている。今後は、寮生活も含めた勤務環境の点検や、外部機関を活用した相談体制の整備など、再発防止策をどこまで具体化できるかが試される。現場の冷たい水温よりも先に、人間関係の温度差を埋めることが求められている。
