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拍手とカメラのシャッターが交錯する会場で、1つの国の席だけが空いたままだった。南アフリカ・ヨハネスブルクで2025年11月22日に開かれたG20サミット(主要20か国・地域の首脳会議)は、米国不在のまま気候危機などに対応する首脳宣言を採択したが、その過程では議長国への不信や参加国の溝が浮かび上がったとの指摘も出ている。初のアフリカ議長国として注目を集めた会合は、気候危機と貧困国の債務問題に踏み込む一方で、主要国の思惑のぶつかり合いも露わにした。
米国抜きで動いた首脳宣言、焦点は気候と債務
首脳宣言は、気候変動の深刻さと適応の必要性を改めて強調し、再生可能エネルギーの拡大目標を「野心的だ」と評価した。さらに、開発途上国が抱える過重な債務返済の負担に言及し、より公正な国際金融の仕組みづくりを進めるべきだと訴えた。G20は世界の主要経済が集う場だけに、ここでの方向性は今後の気候交渉や債務再編の議論にも影響するとみられる。
一方で、地政学的な記述をめぐっては溝が残った。アルゼンチンのキルノ外相は、宣言案が長年続く中東の紛争に1度だけ触れ「複雑さを十分に捉えていない」と批判し、採択直前に交渉から離脱した。それでも同国はG20創設以来の協調の精神には引き続きコミットすると述べ、完全な同意は得られないまま、いわば「十分な合意」に基づく文書として宣言は前に進んだ。
議長国南アと米国、G20の「原則」をめぐる攻防
今回の宣言は、そもそも米国不在のまま起草された。トランプ米大統領は、南ア政府が白人少数派を迫害していると一方的に主張し、ヨハネスブルクでの会合をボイコットしたうえ、気候変動への言及そのものにも強く反対してきた。ホワイトハウスの当局者は、G20では全会一致の文書だけを公表するのが慣行だとしたうえで、南アが米国の一貫した異議を無視して宣言を発表したのは「議長国の立場の悪用」だと厳しく批判している。
これに対し、議長を務めるラマポーザ南ア大統領は開会の辞で「アフリカ初のG20議長国としての価値と影響力を損なうことは許されない」と語り、外相ラモラ氏も国営放送で「このG20は米国のための場ではない。われわれは皆、対等な加盟国だ」と強調した。また南ア政府は、来年議長国となる米国が大統領の代わりに臨時代理大使を送る提案も「外交儀礼に反する」と退け、象徴的な引き継ぎをめぐる対立も続く。米国抜きで前に進もうとする議長国と原則論を掲げる超大国の距離の取り方が、これからの多国間協調の姿を静かに映している。
