和歌山・御坊市でバイオマス発電所竣工 火力2号機退役で拠点転換へ

旧火力の影に新たな煙突 御坊バイオマス発電所が示すエネルギー転換の現在地

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御坊市の日高港工業団地で、長く行き先が定まらなかった広い造成地に新しい煙突が立ち上がった。2025年10月末、和歌山御坊バイオマス発電所の竣工式が開かれ、地元の行政や企業、住民代表が集まった。隣接する関西電力御坊火力発電所2号機が同じ時期に役目を終えるなか、再生可能エネルギーを軸にした新たな拠点づくりが、地域経済の不安と期待を同時に映し出している。

バイオマス発電所が埋めた「空白地帯」と地域の期待

竣工式が行われた和歌山御坊バイオマス発電所は、発電容量およそ5万キロワットの木質バイオマス発電所だ。大阪ガスとエネルギー事業を手がけるエネウィル、金融系のSMFLみらいパートナーズの3社が出資して設立した合同会社が運営し、2025年8月から本格的な営業運転を始めている。燃料には木質ペレットなど植物由来の資源を使い、CO2排出を実質的に抑えながら発電する仕組みで、国内の電源構成を変えていく一端を担う位置づけだ。

発電所の敷地は約7万平方メートルと広く、日高港工業団地全体の7割以上を占める。造成から長く買い手が付かなかった区画が一気に埋まったことで、団地の風景は大きく変わった。竣工式で三浦源吾市長は、地域の雇用や税収、港の活性化への期待を込めて「これから地域を元気にしてほしい」と述べ、苦しい時期を乗り越えて企業誘致が実を結びつつあることへの安堵感をにじませた。

団地に隣接する御坊火力発電所では、長年地域経済を支えてきた2号機が2025年10月末に廃止された。さらに1号機も翌年6月末までに停止する予定で、3号機も廃止を含めて検討が続く。大規模な火力発電所が縮小する動きと入れ替わるように、再生可能エネルギーの設備が稼働を始めた構図は、エネルギー転換と地域の産業構造の変化を象徴していると言える。

塩漬けだった工業団地が動き出した背景

日高港工業団地は2004年、和歌山県が港湾内を埋め立てて造成した。水深12mの公共バースをそなえ、阪和自動車道の御坊インターチェンジから車で数分という立地から、製造業や倉庫業向けの18区画を分譲・賃貸する構想だった。完成直後から数区画への企業進出が決まり、当初は順調なスタートを切ったように見えたが、その勢いは長く続かなかった。

世界的な景気低迷に加え、2011年の東日本大震災を機に津波への不安が高まり、海沿いの土地を避ける企業が増えた。さらに、工業用水の整備が進んでいないこともハードルとなり、多くの区画が売れずに残った。県の担当者が「塩漬け」と表現するほど、企業誘致は足踏み状態が続き、造成から20年近く、造成地の一部は雑草が目立つ風景のまま取り残されていた。

流れが変わり始めたのは、再生可能エネルギーへの投資が全国で活発になった頃だ。もともと別の事業者がこの場所でバイオマス発電所を検討していた経緯があり、その計画を引き継ぐ形で現在の合同会社が名乗りを上げた。2022年に進出が正式に決まり、長く空き区画だった一帯は一気に電源設備の建設現場へと姿を変えた。県によると、団地内で残っていた最後の1区画も面積約4800平方メートルの土地について売却交渉が最終段階にあり、全区画が埋まる見通しが立ったという。

港を生かした燃料輸入と、これからの地域経済

和歌山御坊バイオマス発電所の特徴の一つが、港と発電設備の距離の近さだ。燃料となる木質ペレットなどは、東南アジアなど海外からすべて輸入される。通常、日高港には関税法上、外国貿易船が直接入港できない制限があるが、県は国に働きかけ、岸壁の一部を税関手続きに使う制限エリアとして特例的に指定する仕組みを整えた。その結果、公共バースに外国船が着岸し、発電所の目前で燃料を荷降ろしできるようになった。

県港湾空港局によれば、公共バースを活用したこうした特例は全国でも初めてのケースだという。燃料の荷役コストや輸送時間を抑えられることは、発電事業の収益性を左右する要素であり、合同会社側も立地を決める上で大きな後押しになったと振り返る。港の機能を生かしながら再生可能エネルギーの事業を呼び込むこの仕組みは、他の港湾のモデルとして注目される可能性もある。

一方で、長年地域の雇用と関連産業を支えてきた御坊火力発電所が段階的に縮小していく影響は、まだ見通しにくい。バイオマス発電所の稼働や工業団地の全区画稼働が、どこまで地域全体の所得や人口維持につながるのかは、今後の投資や新たな企業との連携にかかっている。港に並ぶ施設の役割が変わりつつある今、その変化をどう暮らしの安心につなげるかが、静かに問われている。

参考・出典

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