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笛の音と叫び声が、静かな森を一気にかき消した。2025年11月20日、カナダ西部ブリティッシュコロンビア州ベラクーラ近郊で、校外学習に出ていた小学4〜5年生の子どもたちと教師の一団が、森から突然現れたハイイログマ(グリズリー)に襲われた。教員たちはクマ撃退スプレーを握りしめ、必死に子どもたちを背中にかばったという。
昼食中の林道で起きた突然の襲撃
クマが姿を見せたのは、林道脇で一行が昼食を取っていた時だった。アクサルクタ学校の児童と教員あわせておよそ20人が、ヌクサルク・ファースト・ネーションの領域内で短い散策と野外学習をしていた最中だったという。州自然保護官サービスによれば、ハイイログマは森からまっすぐ子どもたちの方へ突進し、複数の児童と教師が相次いで倒された。
この場面で、教師たちは自ら前に出てクマと児童との間に立ちふさがり、クマ撃退スプレーや爆音弾を使って動物を追い払ったと保護官は説明する。激しい攻撃で児童3人と大人1人が大きなけがを負い、うち2人が重体、2人が重傷と州保健当局は発表した。別の7人も負傷したが現地で手当てを受け、11人全員が命の危険と隣り合わせの時間を過ごした。
重傷の4人は現場から救急車とヘリコプターで州内の大規模病院へ運ばれ、21日時点でも入院している。家族の希望で年齢などは公表されていないが、医療チームは集中的な治療を続けているという。事件直後、学校は臨時休校となり、ヌクサルク・ネーションは治療だけでなく、現場を目撃した子どもたちへの心のケアにも力を注いでいる。
負傷したクマの可能性と、森と暮らす地域社会
事件後、自然保護官と警察は、ベラクーラ川流域の「4マイル」と呼ばれる森林と川沿いの地区で問題のクマの捜索を続けている。予備的な調査では、クマはすでに何らかの原因で負傷していた可能性があるとみられ、攻撃性が高まっていたおそれが指摘されている。ただしケビン・バンダム保護官は、この負傷個体が児童を襲ったクマと同一かどうかは分からないと慎重な姿勢を示した。
ベラクーラ周辺にはもともと多くのハイイログマが生息し、冬眠前のこの時期は脂肪を蓄えるため人里近くに姿を見せる回数が増えるという。バンダム氏は「1頭が人との衝突を繰り返したとしても、全てのクマが危険とは限らない」と強調しつつ、住民には森林や河原に近づかず屋外で単独行動を避けるよう求めている。州の自然保護官サービスは、山野を歩く際はグループで行動し、食べ物を放置せず、クマ撃退スプレーを携行するよう改めて呼びかけている。
ブリティッシュコロンビア州では今秋、ハンターや登山者がハイイログマに襲われる別の事例も相次いだ。多くは母グマが子を守ろうとして起きたとみられ、専門家は「クマが人を積極的に狙うケースは依然としてまれだ」と説明する。それでも一度接近してしまえば被害は深刻になりやすく、同サービスは遭遇時には走って逃げず、静かに声をかけながらゆっくり後退し、突進してきた場合にのみスプレーを使うよう指南している。
森の静けさは、今も子どもたちの記憶に重く残っているだろう。地域がクマとの距離を慎重に測り直すことで、いつか再び、子どもたちが安心して林道を歩ける日が戻ってきそうだ。
