香港10億円強奪事件、共謀容疑で15人逮捕も現金不明

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2025.12.22

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香港警察は2025年12月22日、香港島・上環で日本円の現金約10億円が奪われた事件で、強盗を共謀した疑いで香港人の男女15人を逮捕したと発表した。主犯格が含まれる可能性がある一方、現金の行方は明らかにしていない。街の朝に動いた巨額の現金が、どこで途切れたのかが焦点だ。

狙われたのは「両替に向かう瞬間」

事件は12月18日午前、上環周辺で起きた。RTHKなどによると、両替に関わる現金の受け渡し中に刃物を持った男らが現れ、運搬していた日本円の現金約10億円相当を奪って車で逃走した。被害者にけがはなかったとされるが、短時間で持ち去れるだけの準備が前提になる。

TVBは、被害に遭った側が仮想通貨や高級品を扱う日本企業の関係者で、複数のスーツケースに現金を入れて動かしていたと伝えた。警察は「共謀」の疑いで15人を拘束し、うち7人を起訴したとしている。分担して動く計画性が疑われる一方、奪われた現金が回収できたかは説明していない。

今回の事件が突きつけたのは、資金移動の手段が多様化しても「現金を動かす局面」は残るという現実だ。送金なら記録が残るが、現金は持ち出された瞬間に追跡の糸が細くなる。仮想通貨や高級品の取引でも、最終的な決済や両替で現金が動けば、その瞬間が最も脆い。

香港警察が公表する2024年の治安統計では、強盗は90件で検挙率は92.2%とされ、件数は多くない。それでも、被害額が突出する事件が起きれば、当事者の損失だけでなく、現金輸送や両替の慣行そのものが揺らぐ。捜査が「計画的」とみる以上、次に問われるのは、現金を扱う側がどこまで手順を変えられるかだ。