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インターネットイニシアティブとソニーセミコンダクタソリューションズが2025年11月7日、スマート農業を推進する合弁会社の設立に合意した。土壌水分センサーと灌水ナビゲーションを核に、データに基づく水管理を農家に広げ、気候変動下でも安定した生産を支える狙いだ。
合弁の狙いと枠組み
新会社は2026年4月1日に設立予定で、社名は未定。代表者はIIJ ネットワークサービス事業本部 IoTビジネス事業部 副事業部長の齋藤透氏が務める。予定出資比率はIIJが85%、ソニーセミコンダクタソリューションズが11%、そのほか4%となる。
資本金等の総額は559百万円。事業は土壌水分センシング技術を基盤にした水分センサーの開発・販売と、灌水ナビゲーションの提供だ。施設栽培と露地の双方を対象に、圃場から得る連続データを解析し、最適な灌水量とタイミングを提示する。
灌水の勘と経験が強みである一方、天候の振れ幅が増す中では再現性がゆらぐ。通信とセンシングに強い2社が枠組みを持つことで、圃場の状態を定量化し、決定の根拠を示す運用へ踏み出す。業務の属人化を和らげる狙いもにじむ。
現場課題と技術の組み合わせ
気候変動の影響で、極端な高温や降雨の偏りが生育に与える揺らぎは増している。国内では担い手不足と高齢化が重なり、限られた人員で畑を回す負担が増えた。灌水の過不足は品質に直結するため、客観データに基づく判断の需要は高い。
IIJは2017年から水管理センサーやLPWAなどの無線技術を活用し、田畑の可視化に取り組んできた。農業者や自治体と連携し、各地でIoT環境を構築してきた蓄積がある。通信の到達性と電力効率の設計は、遠隔地の圃場でも生きる。
ソニーセミコンダクタソリューションズは高精度な土壌水分センサーとAI解析を磨いてきた。微細な水分変化を捉え、作物の生理と結びつける解釈を支える。センサーの確かさとアルゴリズムの柔軟さが、実装段階での信頼に直結する。
灌水の見える化がもたらす変化
圃場に挿したセンサーが一定間隔で値を送り、画面には灌水の推奨が穏やかに点る。作物のステージや土質を踏まえた指標が提示され、バルブを開く時間や量の目安が具体化する。担当者の不在時も、判断のばらつきを抑えやすくなる。
水のやり過ぎは根を甘やかし、少なすぎればストレスが走る。適正域を狙う運用が広がれば、収量と品質の両立に寄与しやすい。投入水量の最適化はエネルギーや肥料の効率ともつながり、環境負荷の低減と経営の安定化に重なる。
温室と露地で事情は異なるが、共通するのは判断の拠り所を増やすことだ。新会社の体制が整うまでに、現場の声を吸い上げた設計と運用支援の手当てが進むだろう。センサーの数字と経験の言葉が、同じ画面で静かに並び始めている。