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担架が出入りし、靴の列が乱れた。2025年11月7日、ジャカルタ北部クラパガディンの高校敷地内にあるモスクで金曜礼拝中に爆発が起き、警察によれば54人が病院に搬送された。当局は17歳の男子生徒を容疑者として特定し、本人は負傷して手術を受けているという。捜査は続いており、動機や手口の全容はまだ見えない。
礼拝の列に走った衝撃
説教が始まって間もなく、礼拝の列に衝撃が走った。参集していた生徒や教職員が一斉に外へ駆け出し、境内には落としたカバンや祈祷用マットが残った。周囲はすぐ警察線で囲まれ、救急車が行き交った。地元テレビの映像では、モスク外観に目立った損傷は確認できず、内部の混乱だけが際立っていた。
負傷者の多くはやけどや鼓膜への影響を訴え、近隣の複数病院で治療を受けた。現場ではトリアージが進み、軽症者の一部は経過観察後に帰宅したという。警察は爆心の特定と原因究明を急ぐが、現時点で確認できるのは「礼拝の最中に起きた突発の爆発」という枠組みにとどまる。
爆発が起きたのはSMA 72の校内モスクだ。周辺には海軍関連施設が点在し、登下校の時間帯は人の往来が多い。金曜礼拝という日常の営みの最中に起きた出来事で、地域社会には不意を突かれた感覚が残った。現場は夜まで封鎖が続き、捜査員が出入りを繰り返した。
17歳の特定と広がる捜査
警察は校内の男子生徒、17歳を容疑者として特定した。本人も負傷しており、手術を受けたあと回復を待って事情聴取が進む見通しだ。押収物の中には文書類のほか、火薬性の粉末とみられる物質が含まれる可能性があるとされ、鑑識が分析を進めている。学校や家族への聞き取りも開始され、生活圏での兆候の有無を丁寧に洗い出している。
翌日、警察上層部は集めた証拠の概要を示しつつ、事件の法的評価については結論を急がない姿勢を繰り返した。テロ認定の可否や犯行動機の特定は、鑑定と聴取の結果を踏まえて判断するという。少年による単独行為なのか、外部要因が介在したのか、捜査線は複数に分かれている。
爆発は少なくとも2回あったとの証言が重なる。モスク後方や出入り口付近で異なる音がしたという説明もあり、仕掛けや点火方法の特定が鍵になる。礼拝時の人の動線やスピーカー機材の配置、火傷の分布といった断片が、現場再現の素材として丹念につなぎ合わされている。
日常をつなぎ直す支え
現場は処理班が消毒と安全確認を終え、校舎とモスクは警察の管理下に置かれた。教育当局は学校や自治体と連携し、避難誘導の検証や心のケアに着手した。保護者への説明、欠席扱いの柔軟運用、医療費の支援など、当面の負担を減らすための手当ても並行する。復旧は物の片づけだけではなく、安心して祈りと学びを再開できる環境づくりが要となる。
夕刻、校門前には迎えの車列が伸び、制服姿の子どもたちが静かに家路についた。外観に傷が少ない分、胸のざわめきはなお見えにくい。事件の輪郭が整うまで、周囲は余計な憶測を避け、決まった事実を少しずつ積み上げていくしかない。封鎖線の内と外で、ふだんの時間を回復させる手の動きが続いていた。
