本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。[続きを表示]ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
電子情報技術産業協会(JEITA)が公表した日本の電子部品メーカーの統計で、2025年度上期(4〜9月)の電子部品世界出荷額は2兆2954億円となり、前年同期比0.1%増とわずかながらプラスを維持した。統計に参加する企業は年度ごとに入れ替わるため単純比較は難しいものの、上期としては2年連続の増加である。AI関連の需要が伸びる一方、成熟したスマートフォン市場では次の一手が見えにくく、「AI需要とスマホ停滞のはざまで、日本の部品メーカーはどこで成長を確保できるのか」という問いが突きつけられている。
現場に届くAI特需とスマホ停滞 数字ほど楽観できない理由
今回の上期統計はかろうじてプラスだったが、0.1%という伸びは価格変動や為替の影響で簡単に相殺されかねない水準だ。AIサーバーやデータセンター向けの高性能コンデンサーやコネクターなど、一部の分野では受注が強いものの、汎用スマートフォン向けの需要は頭打ちで、数量は出ても単価が上がりにくく、「統計上は増えているが現場感覚は横ばい」という声も業界関係者から聞かれる。
JEITAが公表する電子部品の用途別構成比を見ると、直近の2024年10〜12月期では自動車向けが約4割を占め、通信機器向けは3割弱にとどまる。かつて出荷の牽引役だったスマートフォンや基地局だけには依存できない構造に変わりつつあるなか、専門紙『電波新聞デジタル』が報じた2025年9月単月の統計では、電子部品グローバル出荷額が前年比2桁増に回復し、その要因としてAIサーバーや産業機器向け需要の拡大が挙げられた。AI向けの波が局所的には強くなっている一方で、スマートフォン中心のマス市場の勢いが弱いため、累計ベースでは「特需の実感ほど伸びていない」というねじれも生じている。
成長の鍵はAI技術への追随 スマホ依存からの転換点
JEITAがまとめる電子情報産業全体の世界生産見通しでは、2025年の世界生産額が約3兆9909億ドルと2年連続で過去最高を更新する見込みだとされる。牽引役に挙げられているのは、生成AIを支えるデータセンターや、EVを含む自動車の電装化・ソフトウェア化といった分野であり、電子部品メーカーにとってはスマートフォンに代わる新たな「標準プラットフォーム」が次々に立ち上がっている。生成AI市場の世界需要額が2030年にかけて大きく伸びるとのJEITAの試算もあり、AI関連投資の流れは当面続くとの見方が強い。
AI向け部品では、高耐圧の電源部品や高速伝送に対応したコネクター、温度変化に強い受動部品など、従来以上に厳しい性能要求が突きつけられる。日本勢は品質や信頼性で優位性を持つ半面、開発サイクルや意思決定が長くなりがちで、海外の大手半導体メーカーやプラットフォーマーとどこまでスピードを合わせられるかが課題だ。スマートフォン市場の成熟で端末の買い替えサイクルが伸び、搭載部品の差別化余地も狭まるなか、各社はAIサーバー、車載、産業機器といった分野に人材と投資を振り向け始めており、その「追随力」が今後の成長を左右すると見られる。
ごくわずかな増加にとどまった今回の統計の背後には、AI分野の技術革新にどこまで食らいつけるかが、日本の電子部品メーカーの生き残りを静かに左右し始めているという現実が映し出されている。
