中国・広東省 江門の素粒子ニュートリノ観測施設JUNO完成、地下700mで初成果

中国・広東省、江門の素粒子ニュートリノ観測施設JUNO完成

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トロッコ列車がゆっくりと勾配を下り、レールの軋む音だけが暗闇に響く。地下700メートルのトンネルの先に姿を現すのは、直径30メートル超の巨大な球体だ。19日、中国広東省江門市で素粒子ニュートリノ観測施設「江門ニュートリノ実験(JUNO)」の完成を祝う式典が開かれ、運転開始から3カ月足らずで得た初の成果が報告された。幹部は「世界トップ水準の研究に挑む」と述べ、日米が先行してきた分野で巻き返しを図る姿勢を強く印象づけた。

中国JUNOが目指すもの 地下700メートルの巨大な「目」

式典に先立ち、報道陣には観測エリアが公開された。研究者の案内でトロッコ列車に乗り込み、岩盤をくり抜いた坑道を抜けると、最新の検出装置の真上にある制御室や冷却設備が現れる。JUNO側はこの日、ニュートリノの質量を決めるために必要な観測値の範囲を絞り込むことに成功したと説明した。本格稼働から3カ月未満での成果公表は異例とされ、中国科学院高エネルギー物理研究所の曹俊所長は「検出能力が高く、効率よくデータを集められる」と胸を張った。背景には、中国共産党が10月の重要会議で基礎研究への投資比率引き上げを決めたことがあり、素粒子物理はその重点分野の一つと位置付けられている。

JUNOは広東省江門市開平地区の丘の地下に建設された。周囲には原子力発電所があり、そこから飛んでくる反ニュートリノをとらえる。中心には約2万トンの液体を満たした透明な球形タンクが据えられ、その外側を約3万5千トンの超純水が取り囲んで宇宙線などの雑音を遮る仕組みだ。計画は2015年に始まり、中国科学院と広東省が主導して整備を進めてきた。エネルギーの測定精度を数%まで高めることで、3種類あるニュートリノの質量の並び順「質量階層」を世界で最も早く決定することを目標に掲げている。

ニュートリノとは何か 日米欧と競い合う次世代観測網

ニュートリノは電気的な性質をほとんど持たず、物質と滅多に相互作用しない素粒子で、「幽霊粒子」とも呼ばれる。1秒間に体を何兆個ものニュートリノが通り抜けているとされるが、直接見ることはできない。現在知られているのは「電子」「ミュー」「タウ」の3種類で、飛行中に互いに姿を変え合う現象が「ニュートリノ振動」である。この振動が起きるためには質量がゼロでは困るが、理論上はほぼ質量を持たないと考えられており、その矛盾が「標準理論を超える物理」の手がかりになると期待されている。世界では半世紀以上にわたり観測が続き、多くの研究がノーベル賞にもつながってきた。

こうした研究をさらに一歩進めるため、大型観測施設の建設競争が進んでいる。日本の岐阜県飛騨市で建設中の「ハイパーカミオカンデ」は、加速器から打ち出した人工ニュートリノを使い、物質と反物質のわずかな違いを探ろうとしている。米国中西部では「ディープ・アンダーグラウンド・ニュートリノ・エクスペリメント(DUNE)」が31年ごろの稼働を目指し、別の手法で同様の謎に迫る計画だ。JUNOは原発からの反ニュートリノを高精度で測ることで、質量の並び順をいち早く決着させ、他の施設の結果と突き合わせる役割を担う。地下深くで集められるデータは、中国が掲げる基礎科学強化の象徴であると同時に、国境を越えた共同研究の土台にもなりつつある。

巨大な検出器の内側で、かすかな光を待ち続ける液体は、宇宙の始まりをめぐる静かな問いに、気の遠くなるような時間をかけて答えようとしている。

参考・出典

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