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山口県周防大島町の離島・笠佐島で、島内の土地が中国籍とされる人物に渡ったことを受け、住民側が買い戻し資金を募るクラウドファンディングを始めた。人口7人の小さな共同体では、開発の進み方次第で暮らしの前提が変わりかねない。国の制度が「規制」より「実態把握」に重心を置くなか、住民が先に動かざるを得ない現実がある。
「住み続けられる島か」を先に問われた
笠佐島は面積0.94平方キロメートルで、住民基本台帳では5世帯7人とされる。釣り場として知られる一方、島の担い手は細り、土地の管理も難しくなりやすい。テレビ朝日によると、その笠佐島で中国人の不動産業者が出入りするようになり、住民側は「買われた土地」を買い戻すためのクラウドファンディングに踏み切った。
運動を担う「笠佐島を守る会」は、サイト上で外国資本による土地取得への不安や、島の南側での開発行為への懸念を掲げている。寄付型のクラウドファンディングでは、目標2000万円、募集期限は2026年5月31日までと示され、支援総額や支援者数も公開されている。人口の少ない島では、説明のないまま工事車両が出入りするだけでも、日々の安心が揺らぐ。
空白を埋めるのは「買い戻し」という手段
安全保障の観点から土地利用を調べる「重要土地等調査法」は、防衛関係施設などの周辺を区域指定し、利用実態の調査や必要に応じた勧告などを可能にする。だがテレビ朝日は、笠佐島は同法の対象区域に入っていないと報じた。さらに政府は、外国人による不動産取得の実態把握を進めるため、不動産登記で所有者の国籍記載を義務化する方針も示している。
ここでの論点は、外国人による取得を直ちに止める仕組みが乏しい一方で、島側が「買い戻し費用」という形で負担を引き受けている点だ。土地取引の透明性を上げる政策は進んでも、買われた後の不安や自然環境の心配は残りやすい。笠佐島が米軍岩国基地や海上自衛隊呉基地から近いとされる事情も含め、区域指定の考え方や情報公開の範囲をどう設計するかが、次の争点になりそうだ。
