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外国人住民が特に多い埼玉県川口市が、外国人支援と治安対策を1か所で扱う新たな拠点づくりに動き始めた。市内の自民党市議団は4日、平口洋法相と小野田紀美外国人共生担当相に対し、出入国在留管理庁や警察も入る「(仮称)川口市外国人政策対応センター」構想への支援を求める要望書を提出した。急増する外国人と地域社会の間で、どんな役割分担が問われているのか。
暮らしと手続きが交わる場所として
川口市には2024年4月時点で4万4,000人超の外国人住民が暮らし、人口のおよそ1割弱を占める。中国やベトナム、フィリピンなど出身地も多彩で、学校や職場、商店街では多言語が飛び交う。一方で、在留資格の更新は入管、生活相談は市役所、トラブル時は警察と窓口が分かれ、言葉や制度に不慣れな人ほど行き来の負担が大きいと指摘されてきた。
今回打ち出されたセンターは、こうした分断された相談先を1か所に集約しようとする構想だ。市が生活相談や多文化共生の支援を担い、同じ建物内に入管庁や警察の窓口も置くことで、在留資格の確認から就学、就労、地域のルールまでを連携して扱うイメージである。もともと市は多言語の相談窓口や法律相談を用意しているが、それを一段と強化し、関係機関との距離を縮める狙いがにじむ。
利用者側から見れば、どこに相談すればよいか迷いにくくなり、問題が複雑化する前に支援につながる可能性がある。一方、入管や警察と同じ空間に窓口が並ぶことで、「支援の場」と「取締りの場」の線引きがあいまいになるのではとの懸念も出かねない。支援と管理のバランスをどう設計するかは、センターの看板以上に、外国人住民と地域社会の信頼を左右する論点となる。
市と国でどう役割を分けるのか
センター構想を前面に押し出したのは、川口市の自民党市議会議員団だ。4日には平口法相と小野田外国人共生担当相に直接面会し、国として施設整備や人員配置を支えるよう求めた。出入国在留管理庁や警察の窓口を市の拠点に常設する案が実現すれば、地方自治体と国の外国人政策機関が同じ屋根の下で連携する仕組みとしては全国初となる見通しだ。
川口市はこれまでも、仮放免中で在留資格のない子どもへの就学援助費などを独自に負担してきた経緯がある。在留管理や不法行為の取締りは国の権限でありながら、学校や生活支援の現場は市が担うという役割分担のねじれが、財政面・人員面の重荷になっているとの声は根強い。外国人住民が全国的に増え続けるなか、現場に偏った負担を是正したいという思いが、今回の要望の背景にある。
川口市の試みは、同様に外国人住民が急増する自治体にとっても、ひとつのモデルケースとなり得る。相談や支援の窓口を厚くしつつ、在留管理や治安対策との連携をどう図るか。センター創設の議論は、特定の地域の課題にとどまらず、外国人と共に暮らす社会で、自治体と国がどのように責任と権限を分かち合うのかという、より大きな問いを突き付けている。
