川崎重工業が兵庫県神戸市でDAC実証設備完成、年100〜200トン回収へ

川崎重工、CO2を空から直接回収 神戸工場でDAC実証設備が完成

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吸着塔のユニットが肩を並べ、計器の針が小さく揺れた。12日、川崎重工業は神戸工場で、空気中の二酸化炭素(CO2)を直接回収する「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」の実証設備が完成したと明らかにした。1基で年間100〜200トンを回収し、工場の廃熱で約60℃の低温分離を行うのが特徴だ。同社はモジュール化で早期の実装につなげる考えだ。

低温でCO2を外す仕組み

一般に用いられる吸収液方式は100〜120℃の熱が必要になるが、同社の「Kawasaki CO2 Capture(KCC)」は固体吸着剤を使い、約60℃でCO2を放す。温度差は運転エネルギーを大きく左右し、工場で捨てられる熱を再利用しやすくする。低濃度のCO2を扱う前提で、装置の熱設計を小回りよく組み立てられる点も利点だ。

今回の設備は、大気から回収するDACに加え、同工場のガスエンジン排気から取り出すポストコンバッション(PCC、排ガスからCO2を回収する方式)も並列で検証する。低濃度のCO2に対応する吸着剤の性能と制御を、実機条件で確かめる構成だ。2方式を同じ場所で運転することで、用途ごとのエネルギー収支や運転ノウハウを横断的に比べられる。

技術の源流は、潜水艦や宇宙ステーションの閉鎖空間で呼気由来のCO2を除去してきた装置にある。閉じた環境で磨いた吸着・再生の手法を、屋外の低濃度かつ大量の空気にどう適用するかが鍵になる。低温再生が可能な吸着剤を軸に、配管や熱交換の無駄をそぎ落とす工夫が積み上がる。

神戸で始めるモジュール実証

モジュール1基で年間100〜200トンの回収量を想定する。複数基を組み合わせる前提で設計し、運搬や据え付けの迅速化を狙う。国内でも大きい規模の実証設備と位置づけ、部材や施工の標準化も並行して進める。実証段階から拡張の動線を意識することで、設備の増設や更新に伴う停止時間を短くできる。

同社は7月に工事開始を公表し、10月の完成予定を示していた。今回の公開で、計画通りの体制で実証に入る段取りが整った。早期に運転データを蓄え、吸着剤の改良や設備の最適化に反映させる。運転条件と回収効率の相関を詰めることで、保守や部材寿命の見通しも具体化していく。

低温再生は電力負荷を抑えられるため、自家発電の構成や気温の制約が大きい現場でも導入の余地が広がる。排熱の品位や量に応じて運転条件を柔軟に合わせる発想が、現場実装の足場をつくる。エネルギーコストが変動する中でも、廃熱の再利用を軸に据える設計は、導入判断のハードルを下げうる。

回収だけでなく使い道へ

CO2の回収は、貯留に加えて用途の開拓とセットで価値が高まる。CCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)は、その全体最適を図る枠組みだ。コンクリート硬化材や合成燃料の原料など、地域の産業構造に合わせた出口設計が問われる。神戸の実証は、需要地近接の設置や供給先との連携設計を検討する起点にもなる。

同社は将来的な大型化を視野に、需要地近接の分散配置や化石燃料への依存が残る地域での活用を検討する。大量の新設より既存インフラを生かす選択肢が現実的との見方もあり、モジュール型は試行の自由度が高い。低温で動く装置は電源構成の幅を広げ、再エネ比率が季節や時間で揺れる環境にも合わせやすい。

一方で、運転コストや設置面積、CO2の運搬・貯留の制度設計はなお課題だ。今回の設備は、技術の磨き込みに加え、サプライチェーン全体の検証に踏み出す合図になる。装置前の手順確認が、次の一歩へと続いていく。

小さなユニットの積み重ねが、排出の多寡にかかわらず減らす手段を増やしていく。

参考・出典

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