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薄い秋晴れが広がった2025年10月28日、KDDIが一歩踏み出した。米Google系の日本法人と組み、生成AIで記事や出版物を横断検索し、許諾を得た記事を引用して答える個人向けサービスを2026年春に始めると発表した。権利保護と誤情報抑制を両立させる設計が核にある。何を信じて調べるかという問いに、通信大手が現実解を投げかけた格好だ。
著作権を守るAIで確かな答えを
KDDIは2025年10月27日にGoogle Cloud Japanと戦略的協業契約を締結し、翌28日に公表した。本サービスは、コンテンツ提供企業から許諾を得た信頼性の高い情報をAIが読み込み、利用者の関心に合わせて要点をまとめて提示する構想である。無断利用が社会課題となる中で、入り口から権利配慮を織り込んだ点が目を引く。
中核に据えるのはGoogleの生成AIモデル「Gemini」と、要約や整理を支援するAIアシスタント「NotebookLM」だ。検索の羅列ではなく、根拠のある文脈に沿って答えを示すことを目指す。回答は出典記事を明示する形でまとめられ、文章に加え音声でも受け取れる体験を想定しているとみられる。
KDDIは「責任あるAI」を掲げ、倫理や法に配慮した運用を強調する。無許可のスクレイピングではなく、パートナーからの提供データを前提とするため、生成AIが生みやすい誤情報の抑制にもつながる設計だ。出典に支えられた回答の積み重ねが、利用者側の判断力を補う光景が浮かぶ。
6社と始める実証の輪
参画予定は6社だ。ナターシャの「ナタリー」、晋遊舎の「LDK」、カカクコムの「価格.com」、レンガの「マンションノート」、コネヒトの「mamari」、ユーザベースの「NewsPicks Select」が名を連ねる。記事の提供は許諾に基づく形で行われ、AIが利用者の問いに沿って引用・要約する流れを描く。
顔ぶれを見ると、エンタメ、生活雑誌、価格比較、住宅口コミ、育児、経済ニュースと、日常から意思決定までを横断する守備範囲が見えてくる。暮らしの近くで使える領域を押さえたことは、個人向けの実装に現実味を与える。サービス提供に向け、KDDIは今後もパートナーを広げていく方針だと映る。
引用と要約を介した回答は、従来の検索よりも「なぜその答えに至ったか」を辿りやすい。記事単位の提示はメディアの価値を損なわず、読者にも判断材料が積み重なる。メディアとプラットフォームの相互利益を探る動きが、商慣行と技術の接点で静かに広がっている。
2026年春へ、何が変わるか
提供開始は2026年春の予定である。ニュースやレビューに限らず、生活動線の随所で「確かな出典に基づいた答え」が届く体験が広がるだろう。検索の負担を減らし、意思決定の前段で必要十分な情報を揃える。AIに任せる範囲を無制限にせず、人の判断を支える補助線として位置づける思想がにじむ。
一方で、収録範囲や更新頻度、回答のエビデンス表示、誤り時の修正手順など、使い勝手を左右する仕様は今後の開示を待つ段階にある。どの程度の深さで記事を読み込み、どの粒度で引用を示すのか。利用者体験の細部が、信頼と快適さのバランスを決める鍵になりそうだ。
生成AIが社会にもたらす影響は大きい。KDDIとGoogleの組み合わせは、技術と権利の折り合いをつけながら、情報との向き合い方を再設計する試みといえる。必要なときに、必要なだけ。そんな距離感の情報体験が定着するかどうか、来春の立ち上がりが試金石となる。
