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県議らが警察から捜査の進展を知らされたのは11月中旬だった。20日には都内の衆院議員会館で記者会見を開き、6月に埼玉県警武南署で起きた視察妨害の経過を静かに語った。
発端は6月2日、外国人共生政策の実態を確認するため川口市内を車で巡っていた際、不審な車列に追われ、武南署へ逃げ込んだ場面にさかのぼる。追ってきた車は署の構内まで入り込み、議員らの車の前に立ちはだかったとされる。
武南署で起きた視察妨害の一部始終
視察に参加していたのは、高木功介県議や奥富精一川口市議らだった。彼らは川口市内の資材置き場周辺で、外国人との共生の現状を公道から確認していたという。ところが移動中、クルド人関係者とみられる車両が現れ、約7kmを20分ほどにわたりぴたりと後ろを走り続けた。
不安を覚えた県議らは、行き先だった埼玉県警武南署へ車を向けたが、署構内に入ってからも追尾は終わらなかった。追ってきた3台が進路をふさぎ、車外から怒声を上げたり、侮辱的なジェスチャーを繰り返したと説明している。県警は個別案件として詳細を公表していないが、警察署の敷地内で起きた異例の騒ぎだった。
県議らは7月1日に刑事告訴に踏み切り、その後の捜査で現場にいたトルコ国籍のクルド人ら数人が、公務執行妨害や威力業務妨害、監禁、暴行の疑いで書類送検されたと聞かされた。連絡を受けたのは11月中旬で、20日には都内の衆院議員会館で記者会見を開き、自ら経過を語った。
共生社会とルール 県議らの受け止め
会見で奥富市議は、問題の焦点は国籍ではなく行為だと強調した。外国人だからという理由で排除するのではなく、違法な行動には誰であっても責任を問うべきだとし、警察が綿密な捜査を行い事件性を認めたことを評価すると述べた。背景には、地域の安全や生活環境をめぐる住民の不安が長く積み重なってきた事情もにじむ。
高木県議は、選挙で選ばれた議員の現地調査が物理的に妨げられたことを「民主主義の根幹を損なう行為だ」と位置づけたうえで、書類送検は一歩前進だと語った。諸井県議は、高市政権で外国人政策を担当する大臣ポストが新設された流れに触れ、排外主義ではなく、ルールを守る人と共に暮らす社会をつくるべきだと訴えた。
静かな記者会見室で交わされた言葉は、移民と地域社会が向き合うときに避けて通れない「ルール」という問いを、改めて浮かび上がらせていた。
