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2014年に乗客乗員239人を乗せたまま消息を絶ったマレーシア航空MH370便について、マレーシア政府が深海での残骸捜索を再開すると発表した。12月3日の説明によれば、捜索は今月30日から南インド洋で行われる。11年を経てなお答えを待つ遺族に、この新たな試みはどんな意味を持つのか。
遺族が見つめる再びの海
MH370便の深海捜索は、英米に拠点を置く海洋探査企業Ocean Infinityが担い、南インド洋の約1万5000平方キロの海域を最長55日かけて探る計画だ。マレーシア運輸省は、衛星データなどを基に「最も可能性が高い」とされる地点を絞り込んだとし、各国から寄せられてきた遺族の要望に応える一歩だと位置づけている。
2014年以降、マレーシアやオーストラリア、中国などが南インド洋を広範囲に探したものの、機体本体は見つかっていない。遠くの島に流れ着いた破片が手掛かりとなっただけで、墜落地点も原因も特定し切れていない。英紙ガーディアンなどは、長年宙づりにされた家族が「今回こそ区切りを」と慎重な期待を寄せていると伝える。
成果報酬型捜索が映す責任と限界
今回の契約は、機体を発見できた場合にのみ最大7000万ドルを支払う「成果報酬型」で、2018年にも捜索を担ったOcean Infinityが再び起用される。巨額の公費を投じながら成果が出なかった過去を踏まえ、政府は財政負担を抑えつつも「信頼できる手掛かりがある限り責任を果たす」と強調している。
オーストラリア運輸安全局（ATSB）など各国機関も、海底画像の解析支援などを通じて新たな捜索に協力する見通しだ。航空事故調査の世界では、時間がたつほど物証が失われ原因究明は難しくなる。それでもなお捜索を続けるか、どこかで区切りを付けるかという問いは、MH370に限らず大規模事故に共通する。今回の再開は、その線引きをどこに引くのかを、社会に改めて静かに問いかけている。
参考・出典
- Hunt resumes: MH370 search back in Southern Indian Ocean from Dec 30, says Transport Ministry | Malay Mail
- Malaysia Airlines flight MH370 search to resume 11 years after jet went missing
- Deep-sea search to resume for lost Malaysia Airlines flight 370 | Euronews
- MH370: Transport Ministry finalising deal for new search in Indian Ocean, backed by US and Australian agencies | Malay Mail
- MH370 – Air Accident Investigation
