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捜査官が手錠をかけたのは、赤い城のほど近くで人と車が炎にのまれた夜から6日後だった。国家捜査局NIA（テロ事件を扱う連邦機関）は2025年11月16日、カシミールの住民アミール・ラシード・アリ容疑者を逮捕。先週の自動車爆発で8人が死亡、少なくとも20人が負傷した事件で、爆発に使われた車が同容疑者名義だったと明らかにした。攻撃の計画から車の手配まで、人の移動と物の流れが一本の線で結ばれつつある。
逮捕の発表と容疑の骨格
NIAはアリ容疑者が南カシミールのプルワマ出身で、実行役とされるウマル・ウン・ナビ容疑者と共謀した疑いがあると説明した。白色の乗用車はアリ容疑者の名義で登録され、同容疑者は購入手続きのためデリーに赴いていたとされる。捜査当局は、この車が事件当日の犯行に用いられたとみている。
爆発は2025年11月10日、世界遺産ラール・キラー近くの交通信号付近で発生した。夕刻の混雑する時間帯に車両が突然破裂し、周辺の自動車や三輪車へ延焼が広がった。現地警察は、当初から反テロ法に基づく捜査を開始し、首都圏の警備を強化した。死者8人、負傷者は20人以上にのぼった。
その後の発表で、事件は車両即席爆発装置VBIED（車に仕込んだ爆弾）を用いた自爆攻撃と位置づけられ、運転していたのはナビ容疑者だったと確認された。焦点は、爆薬の入手や加工、実行当日の移動経路、資金の流れに移っている。
爆発当夜の足取りと現場の痕跡
当夜、赤い城の最寄り駅ゲート付近で、ゆっくり進んでいた車が停止した直後に爆発が起き、炎は近くの車列へ次々と燃え移った。現場は旧市街の狭い通りに人の往来が重なる場所で、救急と消防が一帯を封鎖して消火と救助にあたった。交通の要衝で発生したことが、被害拡大の一因となった。
周辺の監視カメラ映像や目撃証言は、事件の前後で車がどこに現れ、どのくらい停車していたのかを補う手がかりになる。登録名義や通信履歴と照合すれば、購入から実行に至る編成の輪郭が見えてくる。現場に残された金属片や化学反応の痕も、爆薬の種類や起爆方法を逆算する試料になる。
一方で、人の動機や結びつきは、紙とデータの痕跡だけでは埋まらない。車の取得、保管、運搬の各局面には協力者が必要になりやすく、そこで生まれた接点が事件を拡張も縮小もさせる。名義や滞在記録が早期に特定へつながった点は、初動の精度を押し上げたと受け止められる。
捜査の行方と広がる波紋
NIAはデリー警察や各州警察と連携し、証人聴取と押収品の解析を続けている。これまでに73人から事情を聴取し、ナビ容疑者名義の別車両も押収されたという。越境する連絡網や資金経路の特定は続いており、事件の背後関係を面で捉える作業が進む。
今回の爆発は首都での大規模テロとしては2011年以来の深刻な事案と位置づけられ、重要施設や交通網の警備は段階的に引き上げられた。観光と日常が交錯する場所が狙われた現実は、都市の開放性を損なわずに脆弱性をどう塞ぐかという課題を改めて突きつける。
爆心地に残った焦げ跡や歪んだフェンダーは、数字だけでは語れない損失の大きさを示している。捜査はなお途上だが、車の由来と同乗者の関係が線でつながるにつれ、事件の輪郭は静かに収束へ向かい始めたのかもしれない。
参考・出典
- India arrests Kashmir resident over Delhi car blast
- India's Modi vows not to spare those behind Delhi car blast
- Anti-Terror Agency NIA Arrests Delhi Suicide Bomber's Accomplice
- Car blast near New Delhi's historic Red Fort kills at least 8 people, India's police say
- NIA Arrests Kashmiri Man in Delhi Red Fort Car Blast Case
