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秋の雨が上がったポートランドで、法廷が相次いでブレーキを踏んだ。2025年10月5日と6日、連邦地裁はトランプ政権による州兵投入を立て続けに差し止めた。まずはオレゴン州兵の連邦化を遮り、次いで他州の州兵派遣にも「待った」をかけた格好だ。効力は少なくとも2025年10月19日まで続くとみられる。街頭の抗議は続くが、軍の介入は憲法の線引きを問う局面に入ったと映る。
法廷が引いた一線
2025年10月5日、ポートランドの連邦地裁でカリン・イマーグート判事が、オレゴン州兵の連邦化と派遣を一時的に差し止める命令を出した。州と市が申し立てた仮差し止めの主張を受け、州兵の運用は州の統治権に属するという第10修正の趣旨を重く見た判断である。判事は、軍の国内投入が市民生活に踏み込む危うさを指摘し、「この国は憲法の支配に立脚する」という原理に立ち返ったと受け止められる。
その翌日未明の2025年10月6日には、同判事が射程を広げ、カリフォルニアを含む他州の州兵をポートランドに送る試みも差し止めた。市は、判断の24時間以内にカリフォルニア州兵が投入されたとして追加の救済を求め、裁判所は「どの州兵であっても」対象となると明確にした。市長は、地元警察の対話的な運用で平穏が保たれていると述べ、軍の投入はむしろ緊張を高めかねないと語った構図が浮かぶ。
司法判断の背後では、州側が法的論点を積み重ねている。連邦法10 U.S.C. §12406に定める「侵略や反乱」などの要件が満たされていないこと、軍を国内の一般的な法執行に用いることを禁じるポッセ・コミタタス法の趣旨への抵触、第10修正に照らした州主権の侵害――いずれも即時の差し止めを正当化する材料だと主張した。裁判所はこの主張に一定の蓋然性を認め、少なくとも当面の派遣を止めたとみられる。
数字でみる派遣計画と抗議の現場
発端は9月末にさかのぼる。国防長官名の覚書が2025年9月28日付で示され、オレゴン州兵200人を60日間、ポートランドに投入する方針が打ち出された。州と市は直ちに提訴し、10月3日に審理が開かれたのち、5日の差し止めへとつながった経緯である。数字でみれば200という規模だが、論点は単なる人数ではない。誰が、どの権限で、どの任務に用いるのかという統治の根幹に触れる。
現場はどうか。市の説明では、焦点は南ポートランドの入国・税関執行局の施設周辺にある。6月以降、同施設には夜ごとに抗議が集まるが、警察は対話役の担当を置いて事前調整を重ね、逮捕が必要な事案に限って対応してきたという。連邦地裁も、直近の抗議は小規模かつ静穏で、軍の投入を肯定する状況証拠は乏しいとみた。ここに、治安と権限のバランス感覚がにじむ。
一方、連邦側は「連邦職員と施設の保護」を掲げ、オレゴン州兵の代替として他州兵の派遣に動いたとされる。市によれば、差し止め直後にカリフォルニア州兵が送り込まれ、テキサスからの派遣計画も把握された。しかし、これらは再び裁判所の命令で止まった。現時点で確認されている範囲では、軍の投入が治安維持に不可欠だとする実情の提示は限定的で、司法判断は慎重姿勢を崩していない。
政治の思惑と次の焦点
ホワイトハウスは判断を不服として、上級審で争う構えをにじませている。大統領側は、暴力的な攻撃から連邦の資産と職員を守るために正当な権限を行使したと主張し、法廷闘争は長期化の様相を帯びる。判事の命令は少なくとも2025年10月19日まで効力を持つ見込みで、その間に追加の証拠や情勢の変化が示されるのかが次の焦点となる。偶然の連鎖なのか、それとも必然の政治なのか。
この数週間、ロサンゼルスなど他都市での州兵運用をめぐっても法廷の審査が進み、軍と治安の境界線をどう描くかが改めて問われている。市街の抗議は行政の運用次第で鎮静も激化もする。州知事や市長、連邦政府が互いの権限を尊重しつつ、最小限の力で最大の秩序を保てるか。誰に有利なのか、という問いは選挙の季節を超えて続くはずだ。結論は、次の開廷と街の空気が示すだろう。