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玄関の扉が開き、捜査員たちが無言のまま細い廊下を進んでいく。2025年11月19日朝、群馬県大泉町のアパートで、埼玉県警が窃盗グループの拠点とみる部屋への家宅捜索に踏み切った。同日までに、一般住宅や空き家を狙った連続窃盗事件への関与が疑われる20〜30代の男女11人が、住居侵入や窃盗などの容疑で逮捕された。いずれも県北部などを拠点とするグループの一員とされる。
埼玉各地で100件超、3グループの広域犯行か
県警によると、摘発されたのは互いに連携していたとみられる3つの犯行グループで、少なくとも今年10月以降に埼玉県内で起きた住宅対象の窃盗事件100件超の一部に関わった疑いがある。現金や貴金属など被害の総額は2000万円を上回り、熊谷市や志木市をはじめ県内ほぼ全域に被害が広がっていたという。被害に遭った家の多くは一般の住宅だった。
グループは県北部のほか、群馬県や栃木県にも拠点を置き、メンバー同士が同じ集合場所に現れたり、車両を貸し借りしたりしていたとされる。県警は、こうした動きが確認されたことから3グループは実質的に一体の組織だった可能性があるとみて、背後に指示役がいないかや、ほかの事件との関連も調べている。押収した携帯電話などの解析も進めているとされる。
逮捕された11人のうち少なくとも1人はベトナム国籍で、他は日本国籍とみられる。警察は、これまでの捜査で押さえた防犯カメラ映像や聞き込み結果と照らし合わせ、11人の役割分担や事件ごとの関与の有無を慎重に裏付けている。今後、窃盗や住居侵入などの容疑で立件を進める方針だ。一部の容疑者は黙秘しているといい、捜査員が通訳を交えて事情を聞く場面もあるという。
夜の住宅街を狙った侵入手口と住民の不安
各グループはいずれもおおむね4人前後で動き、主に住民が寝静まった深夜の時間帯を選んでいたとされる。工具で1階の大きな窓ガラスや掃き出し窓の鍵周りをこじ開けて室内に入り、現金や貴金属、小型の貴重品などを手早く物色していたという。一晩のうちに近いエリアの複数の家を次々と狙った日もあり、被害地域では不安の声が広がっていた。
移動には車体とナンバープレートの組み合わせが一致しない車を使い、集合場所に向かう途中や犯行現場の近くで何度も乗り換えていたとされる。警察関係者は、追跡をまくために車両の特徴を分散させた可能性があるとみている。こうした周到な準備に対し、地域の防犯カメラ網や住民からの通報が手掛かりとなり、今回の一斉摘発につながった。
連続窃盗が疑われるエリアでは、就寝中に家の中へ人が入り込むかもしれないという恐怖から、窓の施錠やセンサーライトの設置を見直す家庭も出ている。県警は、1階の窓や裏口の鍵を確実にかけることや、異変を感じた際はすぐ110番するよう住民に呼びかけ、残る事件の解明と共に再発防止策を急いでいる。
