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夜気が冷える住宅街に、ざわつきが走った。2025年10月24日 22:30ごろ、札幌市西区宮の沢4条5丁目の草むらで「体長約1.5メートルのクマが2、3頭いる」との通報が入り、25日 01:30ごろには約100メートル離れたマンション敷地でも1頭が目撃されたという。昼間には西区西野の公園内で2頭が駆除されており、市街地と野生の境目が一段と揺れていると映る。
静かな住宅街で相次いだ通報
一部報道によれば、最初の通報は24日 22:30ごろ。帰宅途中の男性が宮の沢4条5丁目の草むらで複数頭のクマらしき影を見たと伝えた。地下鉄東西線「宮の沢」駅から約1キロ、街灯と車の往来が続く住宅街の縁である。草むらの暗がりに気配だけが残り、住民の足取りに緊張が走ったとみられる。
続いて25日 01:30ごろ、現場から約100メートルのマンション敷地で、車を運転していた人が体長1メートルほどの1頭を目撃したとされる。周辺では警戒の巡回が行われたが、現場で痕跡は見つからなかったという報もある。深夜から未明にかけての動きが重なり、夜間の外出を控える住民の姿が浮かぶ。
宮の沢の市街地は緑地や斜面が点在し、生活圏と山際が隣り合う地形が続く。駐車場や公園の縁、歩道脇の茂みは視界が限られ、出会い頭の危険が高まる。近所の子どもの送迎ルートを変える家庭や、ペットの散歩時間を早める動きも広がっているとみられる。
西野では2頭を駆除—市の記録が示す緊張
同じ24日、緊張は日中にも及んだ。札幌市の出没記録によると、2025年10月24日 14:30、西区西野8条9丁目の西野すみれ公園内で「ヒグマを駆除（2頭）」と明記されている。市の一覧は更新日と時刻、場所、内容を列挙しており、当日の公園内での駆除が公式に確認できる。
市のリストを遡ると、23日朝 08:20には同じ公園内で「ヒグマを目撃（2頭）」、同日夜 22:14には西野6条3丁目で「ヒグマらしき動物を目撃（2頭）」と並ぶ。さらに22日夜 22:18には山の手でも目撃が記録され、22〜24日にかけて西野・山の手周辺で連日の緊張が続いたことが読み取れる。点が線になり、線が面に広がる感覚がある。
駆除の法的枠組みをめぐっては、自治体判断で発砲を可能にする「緊急銃猟」の活用があったと伝える報道もある。ただし、適用の位置づけや「初」の評価については現時点で断定できない。確かなのは、市街地の縁で人とクマの距離が詰まり、現場対応が一段と即応的になっているという事実である。
生活圏を守るために—当面の備え
最前線は家の前である。生ゴミやペットフード、庭木の果実は出しっぱなしにしない。収集日の前夜にゴミ袋を出さず、物置や屋内に一時保管するだけで誘因は減る。公園や緑地の縁では早朝・夜間の単独行動を避け、子どもは複数で動く。犬の散歩はリードを短く持ち、藪際には近づかないことが肝心だ。
薄暗い時間帯は鈴やラジオで存在を知らせ、見通しの悪い角では声を掛け合う。万が一、近距離でクマに気づいたら、走らず騒がず、背を向けずにゆっくり距離をとる。子グマを見ても近寄らない。追い払おうとして石を投げるなどの刺激は逆効果になりうる。距離と時間をつくることが最優先である。
目撃したときは速やかに通報し、最新の「出没情報」を確認する習慣を持ちたい。札幌市は区別や市全体の記録を一覧で公表しており、日時と場所の履歴から危険の波が読める。日常を守るヒントは、足もとの小さな備えと、地域で情報をつなぐリズムの中にあるはずだ。
