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朝の冷え込みが残る世田谷の住宅街に、サイレンの音が近づいた。2025年11月4日 06:30ごろ、世田谷区松原1丁目の集合住宅から「ごめんなさい。私は死ねなかった。赤ちゃんをやった」との110番が入り、生後2カ月ほどの女児が浴室で死亡して見つかった。警視庁は通報した女性を母親とみて任意で事情を聴いており、地域に衝撃が広がっている。
静かな住宅街で起きた早朝の通報
明大前駅から南東に約350m、細い路地に低層の集合住宅が並ぶ一角で、サイレンの音が朝の静けさを切り裂いた。2025年11月4日 06:30ごろ、世田谷区松原1丁目の住戸から110番が入り、警察と救急が相次いで駆けつけた。通勤前の街に緊張が走り、人々は何が起きたのかと足を止めた。
通報の内容は「ごめんなさい。私は死ねなかった。赤ちゃんをやった」というものだったとされる。時刻について、ANN系列は2025年11月4日 06:30ごろと伝え、大分合同新聞の速報は2025年11月4日 06:35ごろとしている。いずれも早朝の短い時間帯に事態が動いたとみられる。
現場周辺は普段、騒音や揉め事の少ない住宅街だ。近隣では朝の散歩の途中にパトカーや救急車を見かけ、ただならぬ気配を感じたと話す住民もいた。突然の出来事に驚きと戸惑いが広がり、地域に静かなざわめきが残ったと映る。
浴室で見つかった女児と捜査の初動
警察が住戸に入った後、浴室の風呂のふたの上に生後2カ月ほどの女児が横たわった状態で見つかった。女児には刺し傷があり、すでに死亡が確認された。警視庁は通報した女性を女児の母親とみて任意で事情を聴いており、発生の経緯を慎重に探っている。
捜査関係者の説明によれば、現場の状況や負傷の程度など、特定の行為を裏付ける材料の確認が進められているという。女性の具体的な供述や動機は明らかにされておらず、家族関係や同居者の有無など、生活実態の把握も続いているとみられる。現時点で確認されている範囲では、断片的な情報が多い。
現場を管轄する北沢署が中心となり、殺人の疑いを念頭に事実関係の解明を進めている。住戸内の状況や足取りの時系列、通報までの間に何があったのかが焦点であり、司法解剖の結果や鑑識の分析が、死因や犯行に至る経緯の特定に資するはずだ。続報の積み上げが待たれる。
今後の焦点と地域に残る揺らぎ
女児の死に至った経緯の特定には、凶器の有無や致命傷の位置、傷の形成時期の分析が不可欠だ。現時点で確認されている範囲では、刺し傷の存在以外の詳細は公表されていない。住戸内から押収された物品の鑑定や、女性の行動履歴の解析が、全体像をつなぐ鍵になるとみられる。
育児期の家庭をめぐっては、孤立や心身の不調が事件・事故の背景に浮上することがあるが、今回の事案でそうした事情があったかは不明である。女性の健康状態や支援の受け皿に関する情報は示されておらず、安易な一般化は避けたい。事実の検証を積み重ね、見えない空白を一つずつ埋める作業が続く。
朝の冷え込みが戻るなか、現場には黄色い規制線が張られ、人通りはいつもより少なかった。集う言葉は多くないが、小さな命が失われたという重さだけが通りに残る。何が起き、何が足りなかったのか。答えはまだ静かな暗がりの中にあるのかもしれない。
