本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。[続きを表示]ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
製作ラインで石こうボードを留める手順が変わった。清水建設は木質耐火部材「スリム耐火ウッド」の新工法を公表し、製作時間を半分、コストを約20%抑える道筋を示した。国土交通大臣認定も取得し、2025年11月6日に発表後、現場への適用を順次進めている。
新工法の要点と狙い
柱や梁を形づくる3層のうち、熱の伝わりを抑える「燃え止まり層」に工夫を施した。芯材に接する1枚目の石こうボードはビスだけで固定する半乾式工法(接着剤の使用を減らす方法)を採用。2枚目は耐火シートと事前に貼り合わせ、面で一体化してから接着する。
従来はボード1枚ごとに接着剤と留付材で貼り合わせる湿式工法だった。新工法では貼り付け面が平滑になり、耐火シートの密着が安定する。結果として製作精度が上がり、工程全体の工数は半減。材料や手間の無駄が減り、コストも約20%下がる見通しだ。
同社は従来品と同等の性能として国土交通大臣認定を取得し、適用を順次拡大している。木質耐火部材は、芯材・燃え止まり層・「燃えしろ層」(火災時に先に炭化させ芯材を守る層)の働きで耐火性を確保するが、新工法はその要の部分を合理化した位置づけである。
製作プロセスの変化と再利用の利点
もう1つの変化は、解体後を見据えた“外しやすさ”だ。湿式工法では芯材に接着剤の残渣がこびりつき、剥離に手間がかかっていた。半乾式を組み合わせた新工法では、ビスを外すだけで燃え止まり層を取り外せるため、芯材の再利用がしやすくなる。
再利用を前提にすると、部材の循環が描きやすい。製作段階での無駄が減ることに加え、解体時の分別と再資源化の工程が単純化される。耐火シートを一体化したボードは仕上がりにムラが出にくく、外装には防水シートと通気用の胴縁を追加した屋外仕様にも対応できる。
工場の段取りにも影響は及ぶ。貼り合わせの待ち時間が短くなれば、生産の山谷をならしやすく、現場の納期精度も上がる可能性がある。人手不足の続く製作現場でも、作業の標準化が進みやすい点は効果が大きいと受け止められそうだ。
広がる木質ハイブリッドの可能性
清水建設は木と他素材を組み合わせるハイブリッド木質構法「シミズハイウッド」を軸に、中大規模建築での木質化を広げる方針だ。新工法の部材は国の認定を得ており、法規面の適合を前提に多様な建物で使える。脱炭素の潮流と合わさり、使い道は確実に増えていく。
効率化だけでなく、解体後に木を傷めず取り外せるという視点が、木造の循環を後押しする。スリムな納まりと再利用の設計が両立すれば、木を使う都市の風景に、静かな変化が積み重なっていくだろう。
