鹿児島大学が腫瘍溶解性ウイルスで医師主導の第3相治験開始 骨のがん承認目指す

がん細胞だけを狙う新ウイルス薬 鹿児島大チームが最終治験に着手

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鹿児島大学の小戝健一郎教授らは、がん細胞だけを狙う腫瘍溶解性ウイルス「Surv.m-CRA-1」を用い、希少がんである原発性悪性骨腫瘍を対象にした第3相医師主導治験を始めた。国内の研究者が独自に生み出したウイルス薬として本格承認を目指す最終段階であり、2027年中の実用化を見据える。若年層にも多い骨のがんに、新たな治療選択肢をもたらせるかが問われる。

若い患者を襲う骨の希少がん、既存薬は30年前水準

原発性悪性骨腫瘍は、骨そのものにできる悪性腫瘍で、日本では年間およそ800人が診断されるとされる。多くは骨肉腫など成長期の若者に多い型を含み、手術と抗がん剤を組み合わせた治療が標準だ。だが有効な新薬は長年ほとんど登場しておらず、30年ほど前に導入された薬に依存しているのが現状だ。

今回の治験で使う「Surv.m-CRA-1」は、がん細胞でだけ働くスイッチを組み込んだアデノウイルスをベースにした遺伝子治療薬だ。ウイルスはサバイビンという遺伝子の異常な働きを手がかりにがん細胞内で増え、細胞を破壊しながら周囲の腫瘍にも広がる。正常な細胞ではスイッチが入らない設計のため、副作用を抑えつつ効果を高める狙いがある。

鹿児島大学などはこれまでに、骨や軟部組織の腫瘍を対象とした第1相・第2相試験で安全性を確認し、一部の患者では長期の腫瘍縮小や骨が再生する様子も観察されたと報告している。今回の多施設共同試験では、腫瘍内への繰り返し投与により、生存期間の延長や症状の改善につながるかを統計的に検証する。まだ承認前の治療であり、効果とリスクを慎重に見極める段階にある。

大学発ベンチャーと国家戦略が後押しする挑戦

このプロジェクトの特徴は、大学の研究室で生まれた基盤技術を、アカデミア主体の体制でここまで育ててきた点だ。小戝教授らのグループは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援など公的資金を活用し、ウイルスの設計から非臨床試験、第1相・第2相治験までを段階的に進めてきた。研究成果を社会に届ける段階では、鹿児島大学発ベンチャーのサーブ・バイオファーマが製造や開発実務を担う。

治験が成功し承認申請へ進んだ場合には、整形外科領域に実績を持つ日本臓器製薬が販売を担う計画だ。サーブ・バイオファーマは同社とライセンス契約を結び、2027年頃の本承認獲得と市場投入を見据えている。大学、ベンチャー、製薬企業が役割を分担することで、希少がんという採算が取りにくい分野でも、新しい薬を患者に届けるスキームを形にしつつある。

腫瘍溶解性ウイルスは世界的にもまだ承認例が少なく、本承認を受けた薬剤は欧米で1剤、日本では条件付き承認が1剤あるに過ぎない。今回の治験が実を結べば、原発性悪性骨腫瘍に対する世界初の遺伝子治療薬であり、日本発の先端医療が国際的な治療選択肢になる可能性がある。一方で、患者数の少なさゆえに十分な症例を集められるか、長期の安全性をどう見守るかといった課題も残る。治験の行方は、希少がん医療の将来像を占う試金石となりそうだ。

参考・出典

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