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オーストラリア公共放送ABCは2025年12月15日、シドニーで起きた銃乱射事件の容疑者の1人について、当局が過激派組織「イスラム国」（IS）と関連する可能性を念頭に調べていたと報じた。当局は、事件を計画していた兆候は確認できなかったとしている。事件は12月14日夜、ユダヤ教の祭事ハヌカの集まりが開かれていたボンダイビーチ周辺で発生し、ReutersとAP通信は死者が少なくとも15人に上ると報じた。
「把握していた」ことの意味が揺れる
焦点は、容疑者が以前から当局の視野に入っていた点だ。The Guardianは、豪州情報機関ASIOが2019年に、ISと関係が疑われる動きに関連して捜査対象としていた経緯があると伝えた。一方で当局は、今回の襲撃を準備していた具体的な兆候はなかったと説明した。
この食い違いは、事後に情報が線としてつながって見える怖さでもある。危険の見立ては、本人の周辺環境やネット上の接触、資金や武器の動きなど複数の断片で変わる。兆候が薄い段階で踏み込めば監視強化の正当性が問われ、見送れば取り返しがつかない。この難題が改めて表面化した。
銃と憎悪、制度のすき間に向き合う
攻撃は「現場の警戒」だけで防げる性質ではなかった可能性がある。Reutersは、容疑者が親子で、父親が現場で死亡し、息子は重体で拘束下にあると報じた。The Guardianは、使用された銃が合法登録の可能性があると伝えている。1996年以降、銃規制を強めてきた豪州でも、免許と保管の穴が論点に浮上する。
同時に、標的の選ばれ方は社会の分断を広げかねない。AP通信は、ハヌカ行事を狙った反ユダヤ的なテロとして当局が捉えていると報じた。news.com.auは、警察トップが報復を避けるよう呼びかけ、豪州のイスラム団体も非難を表明したと伝えた。暴力の連鎖を断つには、捜査と制度点検を急ぎつつ、共同体の安全をどう守るかが残る問いだ。
参考・出典
- At least 12 people dead as Bondi attack declared act of terrorism
- Australia plans tougher gun laws after father and son kill 15 at Bondi Beach – Reuters
- Father and son gunmen kill at least 15 people in attack on Hanukkah event at Sydney’s Bondi Beach
- Bondi beach terror attack: father and son duo allegedly used licensed firearms in shooting
- 安全・テロ関連情報 – 在シドニー日本国総領事館
