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封筒から取り出された1通の書面が読み上げられると、長く続いたテレグラフ売却劇の空気がわずかに変わった。2025年11月24日、リサ・ナンディ文化相は、保守系高級紙テレグラフを抱えるテレグラフ・メディア・グループの売却について、これ以上遅らせず「公共の利益にかなうタイムリーな売却」を実現する道筋を描くと表明した。買い手はデイリー・メール紙の親会社DMGTで、約2年に及ぶ所有者探しはようやく終盤を迎えつつある。
DMGT買収で見えてきた「終着駅」
DMGTは2025年11月22日、米国・UAE連合のレッドバードIMIからテレグラフ・メディア・グループを5億ポンドで買収することで合意した。親会社であるDaily Mail and General Trustは、デイリー・メールやMetro、The i Paperを抱える大手だ。ここに保守系高級紙テレグラフが加われば、右派系メディアが1つの企業グループに大きく集約される。取引はまだ独占交渉中だが、成立すれば英国の報道勢力図に目立つ変化をもたらす。
ここに至るまでの道のりは長い。2023年には米レッドバード・キャピタルとUAE政府系投資会社IMIの合弁レッドバードIMIが、テレグラフの経営権取得で合意した。さらに2025年5月、レッドバード・キャピタルがIMIから株式を買い取り、IMIの出資を最大15%に抑える案も示されたが、規制当局の審査が進まず、記者らの反対も受けて11月14日にレッドバードが撤退を表明した。
売却の行き先が定まらない間、編集予算削減の計画が伝わるなど、現場には疲弊感が漂った。DMGTは今回の取引が「長期の宙づり状態」を終わらせ、社員に安定をもたらすと強調し、テレグラフへの大規模投資と国際展開を約束する。一方で、既存紙とは編集上の独立性を保つと説明しており、その言葉がどこまで実践されるかを見極める局面に入った。
外国政府マネーを排する新制度と文化相の役割
今回の売却劇の背後には、2024年に導入された新たな規制がある。外国政府による英国報道機関の支配的な取得を禁じる制度で、背景にはUAEの検閲体制への懸念や、レッドバードIMIによる旧来の買収案への反発があった。一定条件のもとで最大15%までの出資は認めつつも、文化相が公共の利益や報道の多様性への影響を審査できる「外国政府影響メディア規制」として位置づけられている。
レッドバード・キャピタル案を巡っては、人権団体が中国との関係を問題視し、保守・労働両党の議員が懸念を共有するなど、党派を超えた論争に発展していた。前任のルーシー・フレイザー文化相は、公共の利益を守るための特別通知を発し、競争・市場庁や通信規制当局Ofcomによる精査を求めた経緯がある。ナンディ氏は、こうした一連の政治的・外交的な重荷を引き継いだうえで、今回のDMGT案に向き合うことになる。
ナンディ氏は24日の声明で、これ以上の遅延を避けつつ、公共の利益に資する形でテレグラフ売却を完了させると明言した。DMGT側からの正式な承認申請が3週間以内に出されるとの見通しも示し、その後は公正取引やメディア多様性の観点からの審査が本格化する。約2年続いた所有者探しの長い回廊の先に、新たな編集方針と資本構成がどのような姿で現れるのか、静かに見届ける段階に入った。
