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高級腕時計のシェアリングサービス「トケマッチ」をめぐる事件で、警視庁は2025年12月26日、国外に逃亡していた運営会社の元代表を逮捕した。捜査関係機関によると、元代表は中東ドバイに滞在していたが、成田空港に到着したタイミングで身柄を確保された。預けた時計が戻らないという相談が相次いだサービスだけに、焦点は「時計の所在」と「被害回復」に移る。
戻らない腕時計、被害者が待つのは返却か補償か
警視庁によると、逮捕された元代表の福原敬済容疑者（44）と元従業員の中山大志容疑者（44）は、2023年8月から約2か月の間、東京都内の男性から高級腕時計15本、計1800万円相当をだまし取った疑いがある。トケマッチでは、利用者が大切に保管してきた時計を預ける形が多く、返却の約束が崩れたときの喪失感は金額だけでは測りにくい。
一方で、逮捕が直ちに「時計が戻る」ことを意味するわけではない。FNNプライムオンラインは2024年3月時点で、被害届が全国で173件受理されていると報じた。時計が転売されていた場合、所在の特定、押収、返還までには別の手続きと時間が要る。事件の論点は、刑事責任の追及と並行して、流通先をたどり被害をどう回復するかにある。
逃亡から帰国まで、旅券失効が動かした歯車
福原容疑者は事件後にドバイへ渡航していたとされる。テレビ朝日は、福原容疑者の旅券が失効しており、外務省が2024年4月に旅券返納命令を出したと伝えている。旅券は海外での身分証明の土台でもあり、更新や手続きが止まれば滞在の継続が難しくなる場面が出る。逃亡先とされた都市で、足場が崩れる瞬間は静かに訪れる。
またテレビ朝日は2024年3月、警察庁がICPO（国際刑事警察機構）に国際手配を要請したと報じていた。2025年12月26日は、こうした手続きの積み重ねが「身柄の確保」という形になって表れた日でもある。今後は、時計や資金の流れ、関係者の役割分担がどこまで解明されるかが焦点となる。預けた時計が「どこにあるのか」という問いに、捜査が具体的な答えを示せるかが問われている。
