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滋賀県東近江市の工場ラインで、防塵服に身を包んだ作業者が細いフィルムのロールを慎重に巻き取っている。そのフィルムは、電源を入れるだけで車の窓を透けた状態から真っ黒な壁のように変える、TOPPANの液晶調光フィルム「LC MAGIC ノーマルブラック」だ。車内を移動のための座席ではなく、くつろぐ居住空間として使ってほしいという狙いが込められている。
車内を一瞬で切り替える黒いフィルム
LC MAGICは、フィルム内部の液晶分子の向きを電気でそろえたり乱したりして、透明と不透明を瞬時に切り替える調光フィルムだ。車載向けの新グレード「ノーマルブラック」では、電源オフ時に可視光線透過率が約5%の黒色となり、外から車内の様子をほとんど見られない。一方、電源オン時には約43%まで明るさが戻り、一般的なリアガラス並みの見通しを確保できる。
サンルーフやリアサイドガラスにこのフィルムを組み込めば、シェードやカーテンといった機械式の装置を減らしながら日差しと視線をコントロールできる。厚さは約0.4mmと薄く、フィルム内で液晶が動かない構造のため、はさみで自由な形に切り出して曲面ガラスにも貼り付けやすい。ホワイト系2種に今回の黒が加わり、車のグレードや内装デザインに合わせた細かな光の演出も可能になってきた。
滋賀工場が支える量産と非ディスプレーへの挑戦
こうした技術を量産レベルで支えるのが、滋賀県東近江市にあるTOPPAN滋賀工場だ。クリーンルーム内では防塵服姿の作業者が、微細なゴミも入り込まないよう光学特性を測定しながらロール状のフィルムを製造している。前工程には液晶や高分子を均一に積層する独自ノウハウが詰まっており、後工程では自動車メーカーごとの要望に合わせたサイズや形状のモジュールへと仕上げていく。
TOPPANは長年の印刷事業で培ったコーティングやパターン形成の技術を応用し、ロール、シート、完成モジュールのいずれの形でもLC MAGICを供給できる体制を整えた。ディスプレーではない窓ガラス向けの「非ディスプレー」分野で、まず車載用途から展開し、2024年度には航空機や鉄道などモビリティ全体へ広げる計画だ。液晶調光フィルム事業として2025年度に売上約30億円を目指す姿からも、この領域への期待の大きさがうかがえる。
移動のあいだに本を読んだり、空をぼんやり眺めたりする時間が、ボタン1つで明るさを選べる窓によってどんな質感に変わるのか、滋賀のラインから生まれる薄いフィルムが静かに問いかけているようだ。
