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米ホワイトハウス周辺の喧噪がやや落ち着いた16日夜、トランプ米大統領がロシアのプーチン大統領とブダペストで会談する意向を示した。ウクライナ戦争の終結に向けた協議が目的だとし、同日行った電話会談は「生産的」だったと交流サイトに綴った。17日にはゼレンスキー大統領と会う予定で、支援の在り方に新たな駆け引きがにじむ。
ブダペストに浮上する「次の会談」
16日、トランプ氏はプーチン氏と長時間の電話会談を行い、戦争終結に向けた協議を進めるため、近く対面で会う考えを示した。現時点で確認されている範囲では、会談の舞台としてハンガリーの首都ブダペスト案が浮上しており、2週間以内の可能性にも言及したと報じられている。
ロシア側では、ウシャコフ大統領補佐官が記者団に対し、米露両国の外相級が数日内に協議し、首脳会談の準備を進めると説明した。電話会談はモスクワ側の呼びかけで行われたとされ、今年に入ってからの首脳間の接触は8回目に達したとの見方もある。動きは加速していると映る。
ブダペスト案は、欧州の中でも独自の仲介役を志向してきたハンガリーの存在感を映す。中東の停戦枠組みでも顔を出したオルバン首相は、近くトランプ氏と会う考えを明らかにしており、首脳間の糸口づくりが重ねられている構図が浮かぶ。舞台設定は整いつつあるように見える。
揺れる支援、トマホークの行方
一方で、ウクライナが求める長距離巡航ミサイル「トマホーク」の供与をめぐっては、緊張が高まっている。トランプ氏は交渉の進展如何では供与に踏み切る可能性に触れてきたと一部報道は伝えるが、供与が現実味を帯びるほど、対露関係への波紋も大きくなる。
プーチン氏は今月上旬、トマホーク供与は米露関係の「芽生えつつある前向きな流れ」を損ない得ると警告した。さらにロシア側は、こうした兵器の投入は紛争の質を変える重大な段階に当たると強く牽制しており、和平プロセスの障害になるとの主張を重ねているのが現状である。
17日に予定されるゼレンスキー氏との会談では、防空や長射程兵器を含む支援の優先順位が再確認されるとみられる。米露の電話会談後に醸成された前向きな空気は、供与判断の速度や中身にも影響し得る。支援強化と停戦機運の両立をどう図るか、難しい綱渡りが続く。
アンカレッジの記憶、その延長線上で
8月15日、米露首脳は米アラスカ州アンカレッジで対面し、ホワイトハウスは「歴史的なサミット」と位置づけた。だが包括的な停戦合意は公表されておらず、戦闘は続いたままだ。今回のブダペスト構想は、その延長線上で再び糸口を探る試みとして映る。
交渉は段階戦である。ロシア側は外相級の調整を明言し、米側もウクライナ首脳との会談を重ねる。対話の網の目が細かくなるほど、戦場の力学と政治の計算が複雑に絡み合う。停戦に近づくのか、あるいは遠のくのか。ブダペストでの一手は、その岐路を映す鏡となりそうだ。
