英国NHS、「スーパーインフル」流行で入院55%増　医療と市民生活に重圧

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2025.12.12

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イギリスの医療関係者が12月11日、国内の病院が感染力の強いインフルエンザ変異株による「最悪の事態」に直面していると警告した。英国民保健サービス（NHS）によれば、先週のインフルエンザ入院患者は1日平均2660人と、この時期として過去最多で、わずか1週間で55%も増えた。急速に膨らむ患者の波は、冬本番を前に、すでに逼迫していた医療体制と市民生活に何を突きつけているのか。

病院の現場で起きていること

NHSの発表や英メディアの報道では、この「スーパーインフル」の流行により、救急外来や救急搬送の需要も記録的な水準に達しつつあるという。各地の病院では、一般病床や集中治療室の一部をインフルエンザ患者用に転換せざるを得ず、予定手術の延期や面会制限が増え、日常診療への影響がじわりと広がっている。

特に高齢者や基礎疾患のある人の入院が増えており、医師や看護師は通常の冬よりも早い段階から連日の残業や人員のやり繰りを強いられている。12月中旬には若手医師によるストライキも予定されており、現場では「まだ流行のピークが見えないなかで、これ以上の人手減少にどう備えるか」という不安が強まっている。

救急車の到着から診察までの待ち時間が伸び、廊下に臨時ベッドを並べて対応する病院も出ていると報じられる。こうした負荷は、新型コロナ禍流行期に積み残された診療の遅れをさらに押し広げかねないとの指摘もある。

市民に求められる備えと「日本への教訓」

英国政府やNHSは、65歳以上や基礎疾患のある人、妊婦、医療従事者などへのワクチン接種を改めて呼びかけている。接種後に免疫が十分つくまで2週間ほどかかるため、クリスマス休暇前の今がぎりぎりのタイミングだと説明し、外出時のマスク着用や、人混みを避ける行動も重ねて求めている。

イギリスでは過去の冬季と比べても異例の速さで入院が増えており、専門家は「新型コロナ禍で一度リセットされた免疫が、変異したインフルエンザに十分対応できていない可能性がある」とみている。日本でも同様の条件がそろえば、医療提供体制が一気に揺らぐリスクは小さくなく、南半球や欧州の動きを手がかりに、ワクチンや基本的な感染対策をどこまで前倒しできるかが問われている。

病院の現場で起きていること

市民に求められる備えと「日本への教訓」

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