本サイトの記事や画像はAIが公的資料や報道を整理し制作したものです。[続きを表示]ただし誤りや不確定な情報が含まれることがありますので、参考の一助としてご覧いただき、実際の判断は公的資料や他の報道を直接ご確認ください。[私たちの取り組み]
サイバー攻撃を事前に食い止める「能動的サイバー防御（ACD）」を巡り、政府の運用を監視する第三者機関「サイバー通信情報監理委員会」の輪郭が固まりつつある。首相が任命する専門家ら5人を中核に、事務局として約50人規模の政府職員を置き、2026年4月1日の設置を目指す。制度の実効性と、監視が行き過ぎないための歯止めが同時に問われる局面だ。
5人の委員と50人の事務局、監視は「人の規模」で決まる
監理委は、ACDの運用をチェックするための独立機関として位置付けられ、委員長を含む5人で構成される。国会同意を得た上で首相が任命する枠組みで、制度への不信が強まりやすい「通信の秘密」との緊張関係を、運用面から抑える役割を担う。政府は設置に向け、事務局に約50人を配置し、必要経費として14億1000万円を来年度当初予算案に盛り込む方針だ。
注目点は、委員5人という少人数の判断を、50人規模の事務局がどう支えるかである。ACDでは通信や攻撃兆候に関する膨大なデータが前提になり、承認や点検が形式化すれば、歯止めは名ばかりになる。逆に、監視側に技術と法務の目利きが揃えば、政府の権限行使を「必要最小限」に戻す力にもなる。監理委は、制度の設計図よりも、実務の体力が信頼を左右する組織になりそうだ。
「先に無害化できる」権限と、「通信の秘密」を守る手続きの綱引き
ACDは、サイバー攻撃の兆候をつかんだ段階で、攻撃元サーバーへのアクセスや無害化を可能にする仕組みだ。政府は通信情報の収集と分析を進める一方、プライバシー侵害への懸念に対しては、独立機関の承認などで歯止めをかけるとしてきた。国会審議では「通信の秘密」を尊重する規定を明記する修正も加えられ、制度の正当性は運用の透明性とセットで語られるようになった。
ただ、制度が本格稼働するのは2027年を見据えた段階整備とされており、監理委の立ち上げは「使い始める前のテスト」でもある。政府広報などは生活への影響を抑えながら官民連携を進める姿勢を強調するが、無害化措置が国外機器に及ぶ場合の国際法上の整理など、論点は残る。監理委が何をどこまで公表し、国会や社会がどんな材料で検証できるのか。2026年4月1日の発足は、ACDの効果以前に、統制の作法を試す第一歩になる。
